第46話 拳銃の恐怖(8/1)
「ほう。なかなかいい者拾ったじゃねえか」
「はい! 奴隷にして食糧を調達する時にゾンビ共と戦わせようかと」
このコミュニティのリーダーらしき男に、さっきの金髪男がへらへらと嬉しそうにしながら説明している。
周りの男達もこのリーダーに服従している様だ。
僕は奴隷になる気はさらさら無いんだけどね。
取らぬ狸の皮算用というやつかも。
「あのう。ここはどういう集団なんでしょうか? 女性も居るみたいですけど」
僕はダイレクトに尋ねてしまう事にした。
もうすぐお昼だし、時間が勿体ない。
「あ? 女は性処理用の奴隷だ! あー婦人警官もいたっけなあ〜。ははっ!」
リーダーの男は何が面白いのか笑い出した。
「嫌がる女はそそるんだよなあ! あの婦人警官もそうだった。これもいただいちゃったしな!」
リーダーの男は思い出した様にニコニコして話すと、懐から拳銃を2丁取り出した。
まずい! 拳銃だ! 拳銃とはまだ戦った事が無い。
拳銃で撃たれたらまずいかも!
今までの話を総合するとどう考えても良い人達じゃなさそうだし、きっとあの拳銃も婦人警官から奪った物なんだろう。
まだ僕に向けて拳銃を撃つ気配は無いけど、ここは先手必勝だ。
「二人とも伏せて目を瞑って!」
僕は光司君と美久ちゃんを床に伏せさせ、高速でリーダーの男に接近する。
念のため
「はあっ!」
僕はサイコブレードで座っているリーダーの首を切断した。
リーダーの頭が床に転げ落ち首から血が勢い良く吹き出す。
その隙に僕は拳銃をアイテムボックスにしまい、兄妹の近くに戻った。
「て、てめえ! 良くも兄貴を!」
怒り狂った金髪の男が懐から拳銃を出して構えるのが見えた。
何っ! 拳銃はまだあったのか! まずい!
僕に向って拳銃を撃つ男。
極限の集中で僕の意識はスローな世界に入っていった。
ーーーーー
僕に向かって来る拳銃の弾が回転しているのが見える。
弾は何発も発射されている。
僕が避けたら二人に当たるかも知れない。
僕はせめてと腕をクロスさせて弾を受けることにした。
回転しながら近付いて来る弾丸。
僕は痛みを覚悟をする……
だけど弾丸は僕の肌から10cmほどの位置で、何か膜のような物に当たったように、勢いをなくして静止した。
そして世界がもとの様に動き始める。
僕の前には数発の弾丸が静止していて、一拍置くと床に落ちてカランカランと音をたてた。
驚愕した金髪の男が、それでも残弾のトリガーを引いた。
(バン! バン!)
今度はスローの世界にはならなかったが、僕の体の近くで同じ様に止まって弾が落ちた。
「こ、この化け物があ!」
「くそっ!」
「刃物で殺れっ!」
男達が再起動したかのように僕に武器を持って群がってくる。
いつもの様に僕は二人を守りつつ、サイコブレードで相手を切断していく。
違うのは感染者か否かだけだ。
一分後、切断された全ての男達の身体があった。
逃げた人はいないので、たぶん全員だと思う。
なるべく返り血を浴びないように立ち回っていたけど流石に床は血塗れだった。
これは死体を美久ちゃんには見せない様に気を付けないとね……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます