第490話 ズタボロ
「「「「「…………」」」」」」
「だっはっは!!!!!! ま、まぁ仕方ねぇって……なっはっは!!!!!!」
ボロボロになった友人たちを見て爆笑する悪魔。
イシュドと行う訓練についてはガルフたちも慣れてきたため、模擬戦中に怪我を負う事はあっても、それ以外の訓練で怪我を負うことはまずなくなった。
しかし、鉄球全身リフティングを行った結果……全員がズタボロ状態。
具体的には、全身青痣状態になっていた。
場所を間違えて脛や頭で受け止めてしまう事は珍しくなく、全員ダメージを受けて痛みに堪えながら転がることも珍しくなかった。
「イシュド~~~~~」
「は、はは。すまんすまん。ほら」
爆笑したことを謝罪し、イシュドは全員にポーションを渡した。
「はぁ~~~~~。しっかしよぉ、よくこんな事平然と出来るな、お前」
「そりゃ何年もやってたからな」
やはりと言うべきか、五人の中で一番上達が早いのはフィリップだった。
既に一回、二回……三回までは完全に重さを吸収してリフティングすることが出来ていた。
しかし、回数が増え、足以外の場所でリフティングを行うとなると、どうしても失敗してしまう。
結果、ボロボロ具合は他四人と変わらない状態であった。
「これは、レグラ家に伝わるトレーニング、というわけではないのですわよね」
「あぁ、そうだな。俺がなんとなく面白そうだから始めてみた遊びだ」
この時、五人が心の中で呟いた言葉は、見事シンクロしていた。
なんとなくで、なんて恐ろしい遊びを実行したんだ、と。
「安心しろ。俺だって最初から上手く出来なかったし、他の連中も初日で上手く吸収出来る奴はいなかったからな」
「出来たら、正真正銘の天才でしょうね」
ミシェラは、あまり天才という言葉を軽々しく使いたくない。
それでも、この技術は身体能力がある、センスがあるだけでは初見で実行出来るものではない。
そのため、本当に初見で行える者がいれば、天才という言葉以外の表し方が解らない。
「まっ、とりあえず飯食おうぜ」
一向は食堂へ向かい、疲労した体に栄養を送り込む。
訓練後の六人が多くの料理を食べるのはいつものことだが、イシュド以外の五人は普段よりも少し多く夕食をおかわりしていた。
(よく食うな~。まっ、解らなくねぇけど)
体を動かすという意味では、模擬戦の方がよほど動いている。
だが、鉄球全身リフティングでは、一回一回に青痣程度ではあるが、怪我をする可能性がある。
そのため、一回一回に神経をすり減らし、集中して重さを吸収しようとしていた。
結果として青痣だらけにはなったが、それでもフィリップも含めて相当な集中力を消耗したのは間違いなく、それはただ体を動かすよりも体力を消耗する結果となった。
「そういえば、そろそろ新しい一年生が、入学してきますわね」
「…………」
「結局のところ、対応はどうしますの?」
「ん? あぁ~~~……前に言った事と変わらねぇな。あいつらが面倒な絡み方してきても、それ相応の物を用意しなきゃ相手にしねぇよ」
事前に調べれば、最初から光るものを持つ後輩がいると解る。
興味を持つほど光る部分がある後輩であれば、イシュドとしても邪険に扱うことはないが……そこまでするほど、イシュドは光る部分がある者を育てたい!!! という教育者魂はない。
「そうですのね……」
「ミシェラ、お前事前に後輩たちに何か伝えとくつもりか?」
「っっ……その方が、無駄な問題が起こらないかもしれないでしょう」
ミシェラの自信過剰、過剰自己評価……というわけではなく、実際に彼女がまだ中等部に在籍していた頃には彼女を尊敬し、 慕う後輩たちがそれなりにいた。
そんな尊敬する先輩から直々に警告を受けていれば、行動を起こすにしても無駄な行動は起こさないだろうと思う。
というミシェラの考えは、確かに間違ってはいなかった。
「ん~~~~……間違っちゃいねぇと思うんだけどよ、どうも引っ掛かるんだよな~~~。イシュドはよ、それでミシェラ信者の後輩たちが落ち着くと思うか?」
「……………解らん。解らんが、フィリップが言う通り引っ掛かる部分はあんな」
「っ、どこに引っ掛かるのかしら」
「ほれ、少し前に話したろ。勝手に理解者面する連中について」
「うっ、っっっ!!!!!!」
食事中ということもあって、あまり思い出したくない事を思い出し、気道の方に食事が流れ込んでしまったミシェラ。
「はぁ、はぁ」
「大丈夫ですか、ミシェラ」
「え、えぇ。大丈夫ですわ……それで、その、その話に、今回の事が、関係あると」
「おぅ。誰かに憧れる連中、ファンになる連中ってのは、気持ちが大きくなればなるほど、勝手にその人物に対して理解した気になんだよ」
「……………なるほど」
アドレアス自身はやらかした事はないものの、以前まで自分の周りにいた腰巾着たちが似た様な存在だったなと納得。
「あぁ~~~、はいはいあなるほどな。つまり、ミシェラから直々にイシュドに関する警告? を伝えられたら、信者後輩たちはミシェラがイシュドに言わされてるんじゃないかって勘違いすんのか」
「そういうこった。デカパイは自分の後輩がそんな勘違いしねぇと思ってるかもしれねぇが、人が心の奥底では何考えてんのか解んねぇもんなんだから、あんま信じ切らねぇ方が良いぞ」
「…………肝に銘じておきますわ」
過去に自分がやらかしてしまっているからこそ、自分の事を尊敬してくれている可愛い後輩を呪物みたいに言わないで!!!! と、反論することはなく大人しく受け入れるのだった。
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