【ショートショート集】不気味の山

おにごたつ

宝探し

 夏休みのある日、僕はショウから宝探しに誘われた。

 家の手伝いとして倉庫で掃除をしていた時に宝の地図を見つけたという。

 近くで失踪事件があったらしいから気をつけて、というお母さんの言葉を聞き流し、ショウの家に向かう。


 ショウの家に着くと、すでに5年4組の仲良し4人組は僕以外全員が揃っており、宝探しの作戦会議中だった。

 見せてもらった宝の地図にはバツ印が3つ書いてあったが、そのうちの1つだけ、しかもかなり深い部分に宝が隠されているらしい。


 ショウのお父さんが用意してくれたという大きなシャベルを全員分持って裏山に行き、気合を入れて掘り始めたものの、地面が思ったよりも固くなかなか作業が捗らない。

 最後の場所を掘り終わる頃には日が暮れており、結局何も見つからなかったことで、僕らは精神的にも疲れ切ってしまっていた。

 掘り返した穴を埋める気力もないくらいだったので、心配して迎えにきたショウのお父さんが、後で自分が埋めておくから、と言ってくれた時は本当に助かったと思った。


 家に帰ると、お母さんに帰りが遅くなったことをひどく怒られてしまった。

 やはり失踪事件のことで心配していたらしい。

 TVでもちょうど、そのニュースが取り上げられており、3人目の失踪者が出たことを伝えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る