世界最強の契約者〜男性初の契約者である俺は美少女たちと共に世界を守る〜

昼寝部

プロローグ

第1話 契約者

 300年前。


 世界各国で突然空が割れ、ブラックホールのような黒い裂け目が出現する。


 人々が不思議に思っていると、その裂け目から全身が黒く、背中から翼を生やし、頭からはツノを生やしている、モンスターが襲来した。


 後に『デーモン』と名付けられたモンスターに全世界の人々は抵抗したが、デーモンが空を飛べることもあり、徐々に押され始めた。


 また、アメリカや中国などの大きな国では、国内で保持していた核やミサイルで対抗するが、デーモンへダメージを与えることができなかった。


 対抗手段がなく、人類滅亡への一途を辿っている中、デーモンと一緒に、人型のフォルムで羽とツノを持ち、知能を有した『デビル』が襲来した時、人類が敗北すると誰もが思った。


 各国で災害級の被害が出て、人類の存続が危ぶまれた時、突然上空が閃光のように光った。


 その光が収まると、各国に出現した空の裂け目が消え、空からたくさんの妖精が降り立った。


 その妖精たちは気に入った人間と契約関係を結んで戦う力を与え、空の裂け目が消えても世界各国に残り続けたデーモンたちを、妖精と契約した人間が倒して危機を脱した。


 以降、『ゲート』と呼ばれるようになった真っ黒な裂け目が年に100回程度開き、デーモンたちが襲来してきたが、妖精と契約した人間によって撃退してきた。


 そして、妖精に選ばれて契約し、デーモンたちと戦う力を得た人間のことを、こう呼ぶようになった。


 ――『契約者』と。




 あれから何十年、何百年の月日が経ち、デーモンに対抗する組織と環境が世界各国で整った中、決まりのようなものが発見された。


①デーモンやデビルは契約者でないと倒せない。


 核やミサイルで攻撃しても傷1つ付かなかったが、契約者の攻撃では倒すことができるため、世界各国は契約者を血眼になって探し、契約者には手厚い待遇をしている。


②ある日突然、妖精に選ばれて契約者となる。


 普段は姿を見せることのない妖精が突然自分の前に現れて契約の話を持ちかけてくるとのこと。


 そのため、ただの学生だった人が、一夜で契約者となる話はたくさん聞いてきた。


③妖精1人に対して人間1人しか契約できず、契約した者にしか力を与えることができない。


 力を与えるとは、契約した人間の身体能力を上げるとともに、妖精自身が契約した人間に適した武器や道具、装備品へと変化し、戦いのサポートをしてくれることだ。


 それによって、契約者は何かしらの特殊能力を身につけている。


 そして、過去、複数人に力を与えることができるか実験したらしいが失敗したとのこと。


④純真無垢で清らかなる乙女しか、契約者になれない。


 理由はわからないが、妖精と契約した者は女性しかおらず、男性が契約者となった例が過去に一度もない。


 しかも、乙女の中でも心が清らかな乙女しか契約できないと言われている。


 その言葉を裏付けるように、契約者となった者は皆、純真無垢で素晴らしい性格の持ち主らしい。


 ちなみに人々の間では、契約者が悪さをして妖精に見放されると、契約者の身体に異変が起こると噂されているが、本当かはわかっていない。




 以上のことより、この4つの説は当たり前のように世の中で浸透していた。


 しかし、ある日突然、日本という小さな国で世界初、男の契約者が発見された。


 その事実は全世界で注目され、その男の子は一躍、有名人となった。


 そして、その男の子は全世界の人々に向け、あることを宣言した。


『これはきっと、亡き母から託された力だと思ってます。なので、俺は母さんの代わりに皆さんの大切な人を守ります。皆さんが大切な人を失う悲しみを経験しないように。俺は母さんのような強くて優しい契約者になります』


 それが俺『西園寺渚さいおんじなぎさ』だった。

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