第1話 クールな幼女

 私は、長い黒髪を赤いリボンで、トップテイルにした。

 白のワンピースを着た幼女だけど、実はかなりの悲しい出来事を経験して、目は鋭くなっていて、性格は冷めたかのようになっていた。


 まさか、いじめっ子がストーカーと化かすことなんて、誰が想像しただろうか? 

 異世界に来る前は、母親の方針によって、ずっと坊主頭だった。

 髪を伸ばしてもらえなかったけれど、異世界にきてから、やっと女の子らしい髪型になれた。

 身長も伸びてきた。


 異世界での私のネームは、セリオ。

 ちなみに、イタリア語で「真面目」という意味らしいけど、今の私の現状を言い表しているとも言える。

 本名は別にあるけど、名乗りたくはない。

 私は、いじめっ子から離れ、第二の人生を歩むことを決めたから。

 

 ここに来て、もう4年。

 私は、今年で11歳になる。

 人間世界で生活していれば、今頃は小学5年生くらいになっていると思う。

 私の髪は、すでに肩下まで伸びていた。


 小学1年生の頃にやってきたけれど、やっぱりいじめっ子グループはどこまでも追いかけてくる。 

 そのことに、何の意味があるのかはわからない。

 私は、精神病棟で看護師をやっている異世界案内人によって、異世界転移をして、一人で逃げ道を探すしかなかった。

 探して見つけた先は、魔法だけで経営している謎のギルド。


 ここで訓練したからというもの、私は槍を肌身離さず持ち歩くようになった。

 いつ、どこで、あのいじめっ子グループに襲われてもいいように。


 私は、大人が来る場所に足を運んでいた。

 私も、これでも逃げなくてはならない身だけど、それがいつまで続くのだろうか?


 だけど、捕まったらどうなるのかわからない。

 わからないから、恐怖に怯えながらも、あいつたちがいない世界を目指していくしかない。


 今日来たのは、酒場だけど、私はお酒なんて飲めない。

 理由なんて、簡単だ。

 まだ、成人を迎えていないから。


「お嬢ちゃん、一人か?」


 酒場のオーナーっていう人に、声をかけられた。


「ええ。


一人よ。


見ての通りね」


「これは、よくないよ。


迷子かい?」


「親がいないの。


ちなみに、お酒はいらないわ。


飲むなら、ジュースでいい」


「お嬢ちゃん、年いくつだい?」


「今年で11歳になるけれど、まだ10歳」


「うちも、同い年くらいの子供がいるんだけど、よく酒場に来て、お酒とか飲める年齢でもないから、ジュースとか飲んでいたね」


 オーナーは楽しそうに話していたけれど、私はあんまり興味がなかった。


「そっか。


私は自由に過ごせるなら、何だっていい」


 私は冷たく答えてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る