異世界行って食べて最強〜スキル「食事」で落ちこぼれ扱いされたのだけど、陰ながら努力してたら強くなってました〜
神伊 咲児
第1話 異世界召喚
い、異世界召喚……。
だよな?
俺たちは巨大な魔法陣の上に立っていた。
「ようこそ参られた、異界の者よ」
頭に王冠。豪華な服。
目の前にいるのは明らかに王様だ。
俺の名前は、
14歳の中学2年生。
俺は通学途中で光に包まれてここに来た。
弟の
魔法陣に立っていたのは6人。
みんな学生服だな。俺と
俺たちは王都ラウンザーガの平和を守るために呼ばれていた。
近い将来この国に大きな災いが降り注ぐという。
その厄災から国を守るのが俺たちだというのだ。
俺たちは更なる詳しい説明を聞くために王の間へと案内される。
その途中、各自で自己紹介をした。
どうやらみんな中学生のようだ。
不安げな表情を見せる中。口をこぼしたのは
「ちっ。夢の異世界転移がよ。よりにもよって
「ま、まぁそう言うなよ。兄弟は俺たちだけなんだからさ。他の人たちより優遇されてるじゃないか」
「ふざけんなよな! ダメ兄貴の癖にさ。1年先に生まれただけで兄貴面すんなよな。クソ
俺はそんな弟に随分と下に見られている。
「おまえと兄弟ってだけでハンディだぜ。声をかけてくんな! わかったか!! 無能人間!!」
「悪かったよ……」
俺がもっと頼り甲斐のある兄貴だったらな。
おまえにも慕われただろうに……。
何分、大きな取り柄もなく、学業は平均値。運動音痴で、目立たない人間なんだ。ああ、こんな兄貴ですまん。
6人を軽く紹介しよう。
俺と
3人目は大きな眼鏡をかけた影の薄そうな女の子。
年は俺と同じらしい。
4人目と5人目は美男美女。スラリと背の高い美形。
2人とも1つ上の先輩のようだ。
話言葉は気品があるし、この2人は、俺と住む世界が違う感じだな。
最後は不良。
同じ中2なのだけど、ヤバい空気が漂っている。
名前は
ガムを噛んで常に態度が悪い。
「ケッ! 怠いな。クチャクチャ」
とにかくコイツとだけは関わっちゃいけない臭いがするよ。
俺たち6人は王の間へとやってきた。
「そなたたちには神から
俺たちの眼前には文字が浮かび上がった。
俺の
【食事】
・モンスターを食べることで少しだけ強くなる。
はい?
食事?
もしかしてハズレ
「ギャハハハ! なんだよ
【氷操作】
・氷の精霊の力を使うことができる。
う……。なんか強そう。
「見ろよ! 氷のナイフだ」
と、手の上に氷を集めてナイフを作っていた。
「オラよ!」
ヒュンッ!
「あ、危なッ!」
俺は服を切った。
「やめろよ! もうちょっとで体に刺さる所だったじゃないか」
「へへへ。それはおまえがノロマだからだよ」
はぁ〜〜。
ため息しか出ないな。
今度は
「おほ! やっぱり思ったとおりだぜ! ステータスが見れるぞ!」
能力の確認は
「みなさーーん。能力は
やれやれ。なんのアピールだよ。
とりあえず、俺も見てみよう。
ステータスオープンと念じるだけで良いらしい。
名前:飯田
LV:1
攻撃:2
体力:5
防御:1
速度:1
知力:1
魔力:1
:食事
よ、弱すぎる。
「ギャハハ! おい
うう。
これは反論の余地がない。
俺は6人の中で最もステータスが低かった。
王様は、そんな俺には無関心。
高々と条件を述べた。
「そなたたちは選ばれた者だ。しかし、その力が本物かはまだわからない。1カ月の猶予を与える。それまでに能力を鍛えるのだ。力をマスターしてこの城に戻ってくるがよい。その時に真の勇者を決めようと思う」
そう言って金貨の入った小袋をくれた。
「この金で身支度を整え、この世界で腕試しをするがよい」
ほぉ。
これは気前がいい。
「勇者に認定されれば更なる報酬を与えてやろう」
それはぜひ勇者に選ばれたい。
イケメンの先輩が手を挙げた。
「パーティーを組むのは自由ですか?」
確かに。
1人は心細いよな。
「勿論だ。パーティーを組み、力を証明できれば、そのパーティーを勇者と認めてやろう」
なに!?
じゃあ、圧倒的にパーティーの方が有利じゃないか!
しかし、ステータスが低い俺を仲間にしてくれる人はおらず……。
「へへへ。割井さん、一緒に組みましょうよ?」
「あん? おまえは兄貴がいるんじゃねぇのか?」
「あんな奴、兄貴でもなんでもないっすよ。単なるゴミっすから」
「ケハハ! 面白いヤツだな。良いだろう組んでやるよ」
ああ、
先輩たちは2人で組んでるしな。美男美女で、ステータスも高い。当然だろう。
そうなると残ったのは……。
大きな眼鏡をかけた冴えない感じの女の子。
彼女のスキルは、
【料理】
・どんな物でもイメージどうりに調理できる。
俺のスキルと相性抜群って感じだよな。でも、悲しいかな、彼女より俺のステータスの方が低いんだよな。
こんな俺を仲間にするメリットあるのか?
ええい、でも当たって砕けろだ。
ダメ元でも、声くらいはかけてやる。
「あ、あのさ。良かったら一緒にパーティー組めないかな?」
女の子は顔を赤らめた。
その口角はグイッと上がる。
「い、良いんですかぁ!?」
あれ? 随分と嬉しそうだな。
「……じゃあ、組んでくれる?」
「は、はい……。ぜひ!」
おおお!
誘って良かったぁ。
「ふはーー。救いの神とはあなたのことです! 私、完全にハズレスキルだったので絶望してるところでした!」
なるほど。
確かに、単体
「私。倉木
ふぅ……。
なんとか仲間ができたのが救いだな。
先輩たちは優雅に微笑む。
「フ……。君たちはお似合いだね」
「無能同士。微笑ましいことですわね」
むぅ。
確かに先輩たちとは見た目からして全然違うけどさ。そんなこと言うことないよな。
「眼鏡のあなた。良かったわね。彼氏が見つかって。プクク。チンチクリンのブスじゃあ誰も振り向いてもらえませんわよ。アハハ!」
これは黙ってられないぞ。
「倉木さんは俺の仲間なんだ。悪口はやめてください」
「アハハ! 頼もしいナイトさんだこと! ステータス最弱でどうやって彼女を守るのかしらねぇ?」
うぐぐ。
それを言われると辛い。
「ハハハ。麗華くん、よしたまえよ。雑魚を
「オホホホ。無価値の人間はね。揶揄うくらいしか利用価値がありませんのよ」
「ハハハ。確かにね。でも、虐めちゃ可哀想だよ」
「そうですわね。
「僕たちは行くよ。君たちはせいぜい死なないように頑張るんだね」
「オホホホ。勇者認定は
そう言って去って行った。
あーー。
美男美女でも性格は最悪だな。
「倉木さん。あんな人たちの言葉は気にしないでいいからね」
「あ、あ、ありがとうございます」
「うん。俺たちはマイペースで行こうよ」
「ハイ♡」
あれ?
この子、笑うと可愛いかもしれないぞ?
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