話し合いの合間の『……汗』

 ここは美咲と司の屋敷。その建物内の一室で美咲と司はテーブルを挟み話をしていた。


 勿論テーブルの上には泪の入った籠が置かれている。



 あれから司は直接バイゼグフに依頼されて、それを受けることにした。


 その後、話を終えると二人は城をあとにする。



 そして現在、美咲と司は依頼のことで話し合っていた。


「さてと、これからが本番だな」


「うん、これが成功すれば……やっと自由になるんだよね?」


「上手くいけばな。ある程度、信用させて……そのあとおとす。だけど、そのタイミングを間違えないようにしないと」


 そう言い司は無作為に一点をみつめる。


「そうだね……ここまで、やってきたこと全て意味がなくなる」


「ああ、そういう事だ。俺は……いつも肝心なところで失敗するからな。そのせいで何度も美咲を危険な目に合わせた」


「そのことなら気にしてないよ。それに……それって、どっちかと云えば私のミスだから司が気にすることじゃない」


 美咲はそう言い司を心配に思いみた。


 そう言われるも司は俯き、つらそうな表情を浮かべる。


「……ありがとう。本当に美咲は優しいな。あんなにプロポーズを断り続けてたのに……今では俺のそばに居てくれている」


「んー……私が優しいかは別としてだけど。そうだなぁ……熱意に根負けした。ううん、違う。司のいい所を知ったからだよ」


 そう言うと美咲は、ニコッと笑った。


 それを聞き司は恥ずかしくなり顔を真っ赤にする。


 その後も美咲と司は他愛のない話をしていた。


 それを籠の中から泪は顔を赤らめ聞いている。


(美咲さんと司さん……今まで色々なことがあったんだろうなぁ。美咲さんは特にだけど……知らない世界で怖かったと思う。

 私は……平気だった? ううん、本当は不安で仕方なかったよ。でも思っていたよりもカイルディさんは優しかったし……グレイと出逢えて安心できたのかもね。

 もし美咲さんや司さんのような目に遭ったら私は……どうなるのかな? グレイが助けてくれるの? そばに居ない時は、どうなの……)


 そう思いながら泪は美咲と司をみた。と同時に顔が赤くなり頭から湯気が出ている。


 そう二人は濃厚なキ◯をしていたからだ。


(これは……目の毒すぎる。上をみれないよ……あー早く終えて~(泣く)。だけど……本当に仲がいいよなぁ。この二人って……こうなることが運命だったの?

 もしそうなら、こうなるための試練を今までさせられていたってことだよね。そして今も、その試練は続行中ってことになる。

 今までみてきたこと……まだ纏められない。もう少しで何かがみえてきそうなんだけど)


 そう思考を巡らせながら泪は羽で耳を押さえ下を向いていた。


(そもそも、いつまで過去をみていたらいいのかな? んー……まあ、そのうち戻れるか。それよりも……今頃みんなどうしてるかな?

 ……って、私の体ってどうなってるの? かなり時間が経っているよね。でも……もしかして、アッチは時間が経ってないとかかも。それならいいんだけど……)


 そう考え泪は段々不安になってくる。


 そして、その後も泪は色々考えていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る