美咲の得意なもの

 ――……あれから私は目の前で起きていることと脳裏に流れ込む映像を分析しながらみていた。


 司さんは美咲さんのために必死に束の依頼書の中から探している。


 それをみて私は、どうして厄災のようなものを創り出したのか疑問に思った。



 それだけ酷いことを司さんと美咲さんは、この世界の人たちにされたってことなの? だけど……まだ信じられない。

 そうだとしても……そうだとしたら、この過去じゃなくて……もっと過去の方をみた方がいいんじゃ。


 そう思考を巡らせるも分からない。


 それだけじゃない別の場所に居るラギルノさんやガルディスさんのこともだ。


 なんでこっちまでみせられているのか疑問だ。


 ラギルノさんの方は上手く潜り込めたらしい。それとガルディスさんとも喧嘩しなくなった。



 だけど……司さんと美咲さんは、まだ城に潜り込めてないんだよね。これで本当に大丈夫なのかな?

 なんか不安なんだけど……このまま何もなくて解決なんてことないよね。



 そう考え私は嫌な予感が当たらないことを願い祈った……――



 そうこう泪は考えている。


「あ、あった!」


 そう言い司は依頼書の中から一枚を抜き取りテーブルの上に置いた。


「わぁ~良かったぁ……どんな依頼だろう」


 そう言い美咲は胸を躍らせながらテーブルに置かれた依頼書へ視線を向ける。


 美咲はそこに書かれていた依頼内容をみて目を輝かせて喜んだ。


「これ……本当に私がやっていいの?」


「ああ、美咲にあった依頼だろ」


「うん、物語が書ける。何年ぶりだろう……この世界に来てから全然書いてないよ。でも、ちゃんと書けるかな? それに子供向けの物語が……」


 不安になり美咲は俯いた。


「美咲なら書けるさ……ブランクって云っても約三年だろ。そのぐらい、すぐに挽回できる。伊達にオタクをやってた訳じゃないよな?」


「あーうん、あの頃……アニメや漫画や小説。そういえばコスプレにも興味を持って挑戦しようと思ってたんだよね。だけど……結局できなかったけど」


「そうか……そういう事か。美咲はコスプレに興味があったから、それに似た能力になったんだな」


 そう意地悪気味に言い司は目を細め美咲をみる。


「ムッ、多分……違うと思うんだけど」


「そうか? まあそういう事にしておく」


「なんか嫌な言い方だね。んーでも、そうかもしれないし……いいか」


 そう言い美咲は、ニコッと笑った。


「どうするんだ? この依頼を受けないなら俺がやるぞ」


「あ、待って! やるやる……私がやります!!」


 美咲はそう言うと依頼書を取られないように手で押さえる。


「そこまでするか? まあそこが美咲らしくていいんだけどな」


 そう言うと司は優しく微笑んだ。


 その後も二人は依頼書をみていた。


 泪はその様子を羨ましくみている。


(いいなぁ……私もグレイとイチャイチャ……ハッ!? 私は何を想像しているの。駄目だ……司さんと美咲さんの影響で、とんでもないことを妄想してしまったよ)


 そう思い泪の顔は赤くなり涙目になっていた。

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