談話と神の使い

 ここはセフィルディの屋敷の客間。


 ガルディスとラギルノは、未だに睨み合っていた。


 その二人を司は監視している。


 そして美咲とセフィルディとドルムスは話を進めていた。


「これでラギルノの身元が証明できましたね。あとは、どうやってドルムス様を城に戻すかです」


「うむ、私は既に即位をバイゼグフに譲っておる。それなのに、今更な……」


「ドルムス様、ここまで来て……振り出しに戻すのですか?」


 そうセフィルディに言われドルムスは頭を抱える。


「そのつもりはない……この国が心配だからな。しかし、戻る方法が思いつかん」


「ドルムス様、それならば……バイゼグフ様の悪事を暴いてから戻ってはいかがですか?」


 そうガルディスが提案すると、ドルムスとセフィルディは思考を巡らせた。


「悪事か……そういえば、金を使い込み借金をしている他にもあったな」


 そうドルムスが言うとガルディスは頷く。


「その悪事を暴いたあとならば……ドルムス様を戻すのは可能。ですが、その悪事を暴く策を考えないといけません」


「あのぉー、それはいいのですが。私と司は、なんのためにここに連れてこられたのですか?」


「あーそうですね……では、ミサキ様とツカサ様に活躍して頂きますか」


 そうセフィルディに言われ美咲は、余計なことをしたと思い困った顔をする。


 余計なことを言わなければと思い司は、ジト目で美咲をみた。


「それはいいが、何をさせる気だ?」


「そうですね……お二人には、内部に潜入して頂きたいのですが」


「セフィルディさん、どうやって潜り込むんだ?」


 そう司に問われセフィルディは、ニヤリと笑みを浮かべる。その後、潜入方法を説明した。


「……なるほどな。だが、そんなことで内部に潜入できるのか?」


「ツカサ様、バイゼグフ様は欲深い方なので問題ないかと」


 そうセフィルディに言われ司は思考を巡らせる。


(本当に大丈夫なのか? もし失敗すれば……まぁ、そうだな。俺と美咲は、逃げられるから大丈夫だ。でも……それじゃ駄目。

 んー……だけどセフィルディさんは、問題ないって云うしなぁ。やるしかないか……)


 そう考えがまとまると司はセフィルディへ視線を向けた。


「分かりました。ただ……百パーセント成功するとは限りません。その時は、どうするつもりですか?」


「大丈夫だと思いますが、そうですね……その時は私がなんとかしましょう」


「セフィルディさん、本当に信じていいんだな?」


 そう司に聞かれセフィルディは頷く。


「それはそうと……ツカサ様の頭に乗っている小鳥は?」


 そう言いセフィルディは泪へと視線を向ける。


「あ、この鳥ですか……ルイです。ログロス村で美咲がみつけたんですが、俺に懐いてて頭から離れないんですよ」


 そう司が言うと泪は、違うぞと頭を突っついた。


「イテェ―!? なんでいつも俺の頭を攻撃するんだ!」


「クスクス……何か言ってるみたいですね。もしかして、違う……と言っているのでしょうか」


「なるほど……それなら、なんで俺の頭に乗っているんだ?」


 司は不思議に思い首を傾げる。


「もしかしたら……神の使いかもしれませんよ」


「……ルイが?」


「ええ、あなた方を監視しているのかもしれません」


 そう言われ司は難しい表情になった。


(あり得ないことじゃない……でも、まさかな)


 そう思うも司は、違うと思い考えるのをやめる。

 そしてその後も話をしていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る