司の思考

 ここは美咲と司の家にある庭。外は晴れ渡り、プカプカと雲が浮かんでいた。


 庭は然程、大きくない。その庭には、白いテーブルと椅子がある。


 美咲は椅子に座り、テーブルに乗って居る泪に話を聞かせていた。


「……ここにくるまでの間にね、色々とあったんだよ。いいことも悪いことも……。でも、司が居てくれたから……」


 そう言い美咲は、泪に微笑みかける。


 その後も美咲は、色々なことを泪に話していた。


(色々と大変だったんだなぁ。そういえば、司さんはどう思ってるんだろう?)


 そう思い泪は、建物の方をみる。


「そういえば、今日は外に居ない方がいいって言ってたから……そろそろ入ろうか」


 美咲は泪に肩へ乗るように言った。


 それを聞き泪は、美咲の左肩に乗る。


 その後、美咲は建物の中へと入っていった。



 ▼△★△▼☆▼△



 家の中に入った美咲は、自分の部屋に行こうとする。


 だが司の部屋の前までくると泪は、美咲の肩から飛び立った。そして、くちばしで扉をつつく。


「あールイ、駄目だよ。司は、忙しいみたいだから」


 そう言いながら美咲は、泪を捕まえようとする。


 すると扉が開いた。そして司は、何をしているんだと思いながらその様子をみている。


「あっ、ごめん。ルイがね……って、中に入っちゃった!」


 泪は開いた瞬間、今だと思い司の部屋に入った。


 それをみて美咲は、どうしようと思いながら司をみる。


「ん? ルイは、俺の部屋に興味があるみたいだな」


 そう言い司は、自分の部屋を飛び回る泪を目で追った。


「司、ごめん……今すぐ部屋から追い出すから」


「いや、別にいい。飽きれば、外に出るだろう」


「そうだろうけど……本当に大丈夫なの?」


 そう問いかけると司は、頷いたあと笑みを浮かべる。


「ああ、問題ない」


「そっかぁ、それならいいけど」


「それよりも、美咲は大丈夫なのか……ルイが居なくて」


 そう言うと司は、心配な表情で美咲をみた。


「うん、私は大丈夫だよ。それにそろそろお昼だから、準備してきちゃうね」


「もうそんな時間か……」


「じゃあ、作ってくる。その間、ルイのことよろしくね」


 美咲はそう言いキッチンへと向かう。


 それを確認すると司は扉を閉める。



 ▼△★△▼☆▼△



 司の部屋の中に入った泪は、飛び回りながらみていた。ただ単に部屋の中は、どうなっているのか興味があったからである。


 それをみて司は微笑み、再び椅子に座り机上の箱をみた。


(箱? なんだろう……床にも、沢山あるけど)


 そう思い気になったため泪は、司の頭の上にとまる。


「どうした? もしかして、この箱が気になるのか。だが、お前にはやれないぞ」


 そう言い司は、ニコッと笑った。


「……」


 だが泪は、その言葉を聞いていない。なぜかとまった瞬間、鮮明に司の思っていることが頭の中へと入って来たからである。


(これって……司さんが考えていることだよね。でもなんで? 能力は使えないはず、でも……。それは、良く分かんないけど。

 ……これってまさか、厄災は司さんが創ったの? そういえば、あれからグレイとムドルさんの様子がおかしかったけど……このことに気づいてたのかも)


 そう泪は思考を巡らせていたのだった。

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