最強の傭兵である俺がイジメられている陰キャ高校生に転生した件~自由に学園生活を謳歌していたらなぜか周りの女の子たちがチラチラ見てくるようになった~

夜桜ユノ【書籍・コミック発売中!】

第1話 最強の傭兵、転生する


 ――バンバンバンッ!


 マフィアたちの銃の音がけたたましく鳴り響く。

 そんな戦場と化した森林の奥で、俺――宮本龍二みやもとりゅうじはたった1人で奮闘していた。


「"『無敵の龍』だ! 殺せ!"」

「"あいつを殺せば一気に幹部に昇格だぜ!"」

「"後はあいつ1人だけだ! こっちの兵はまだ40人はいるぜ!"」


 『無敵の龍』は敵が俺を恐れて付けた異名だ。

 この首には莫大な懸賞金もかかっているらしい。


 傭兵である俺は、この森林の奥にある基地を目指していた。


 俺の目的はとある兵器の破壊。

 大陸間ステルス弾道ミサイル(IICBM)。

 従来のミサイルにステルス性能を持たせた新型の音速ミサイルだ。

 マフィアの狙いはこれを日本の首都にぶち込むこと。

 この先にある基地はその発射台だった。


 今や戦争の火種なんて1発のミサイルで事足りる。

 日本のミサイル迎撃技術はアメリカには及ばない、日本に着弾すればアメリカが日本の味方に付き、あっと言う間に世界中を巻き込んだ世界大戦が始まる。


 だから、俺がその基地ごとミサイルを破壊して世界大戦を防ぐ。

 仲間たちが死に、最後に1人願いを託された俺が達成しなければならないミッションだった。


「ふぅー……」


 深く息を吐いて精神を研ぎ澄ますと、俺は反撃を開始した。

 サバイバルナイフを手にして蛇のように森林を這いまわり、マフィアたちを一人ずつ音もなく殺していく。

 敵の武器を奪い、姿を隠し、同士討ちをさせ、絞め殺し、首をかっ切り――

 銃撃戦、格闘、潜伏、陽動……傭兵として持てる技術の全てを使って圧倒的に不利だった戦況をひっくり返していく。


「"ダメだ! 強すぎる!"」

「"動きが速えぇ! 弾が当たらねぇ!"」

「"味方の声が次々に消えてく……畜生! どこだ!"」


 威勢の良かったマフィアたちの声は助けを求める悲鳴に変わっていった。

 それでも俺は、仲間たちの無念を晴らす為にマフィアたちを殺し続ける。

 森が本来の静けさを取り戻すまで、俺は躍動した。


       ◇◇◇


 敵を倒していき、俺は大陸間ステルス弾道ミサイル(IICBM)の発射台にたどり着いた。

 これを破壊すれば、マフィアたちの企みは失敗に終わる。

 すでに発射までのタイマーは作動していて、俺はいち早くミサイルを基地ごと破壊しなければならなかった。


 胸ポケットから日本に残してきた家族の写真を出して、最後に眺める。

 俺はこのミサイルと一緒に地獄までランデブーだ。


「――詩織しおり優香ゆうか雅也まさや。どうか幸せに」



 ――ドォォン!



 基地の爆発の余波で、周囲の大気が震える。

 その日、誰にも知られることなく伝説の傭兵が世界を救い、この世を去った。

 無敵の龍は英霊として天に昇った。


 ――しかし、天国にも地獄にも彼の行き場は無かったらしい。

 天国に行くには人を殺しすぎていて、地獄に落ちるには人を救い過ぎていたのだろう。


 宮本龍二の魂は何かに引き寄せられるように日本のとある冴えないイジメられっ子の男子高校生の肉体に宿ったのだった。


 ――――――――――――――

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