元魔王様と魅了で敵対 4

【今日で投稿一年経過】


日頃から見てくれている皆さんありがとうございます!

こつこつと投稿してきたらあっという間に一年も経っていました

最初はこんなに長く続けるとも続くとも思っていなかったのですが、なんやかんや投稿していくのが生活の一部になっています

今後も毎日投稿続けていくのでお暇な時に見ていただけたら嬉しいです!

そして反応は出来ませんがいつも⭐︎や♡を付けて下さる皆さん、毎回見る度に喜んでモチベーション上がってます感謝!!!






 少しするとユメノが沢山の依頼書の束を持って戻ってきた。

そんなに持ってきて受ける冒険者がいたらどうするのかと思ったが、今は忙しい時間帯を過ぎていて高ランク冒険者も出払っているので問題無いらしい。


「どうです?何か達成出来そうなのはありますか?」


「これはいけるな、これとこれも。」


 ユメノに渡された納品依頼書と無限倉庫の中身を照らし合わせて直ぐにでも達成可能な依頼を振り分けていく。


「主様、暇なのー。」


 ずっとジルが依頼書の仕分け作業を行なっていると、ホッコが待ちくたびれてそう言ってくる。


「まだ時間が掛かりそうだからな。キュールネ、ホッコと酒場で何か注文して時間を潰しておいてもらえるか?」


 ギルド内に設けられている酒場で飲み食いして時間を潰してもらえればその間に直ぐに終わる。


「構いませんが、私がいなくても依頼は受けられるのですか?」


「そうですね、冒険者カードだけ預からせて頂ければ問題ありませんよ。」


「それではお願いします。」


 キュールネの差し出した冒険者カードをユメノが受け取る。


「キュールネ、早くいくの!」


「お待ち下さい、ホッコ様。」


 普段から世話係をしているキュールネなので安心して任せられる。


「えーっと、どこまで見たんだったか?」


「ここまでですね。それにしてもかなり素材を溜め込んでいますね。」


 ユメノがジルの仕分けた依頼書を見て言う。

一度にこれだけの納品依頼を達成出来る冒険者なんて殆どいない。


「これでも定期的に売り払っているんだけどな。」


 納品依頼は頻繁に行うし素材の売却も金策の一つとして行なっている。

それに追い付くくらいジル達の魔物を狩る量が多い。

それに加えて別行動しているシキ達も無限倉庫を使用しているので溜まるのも早いのだ。


「よしこんなところか。早速倉庫に向かうぞ。」


「了解です。」


 依頼書の束を持ったユメノと共に倉庫に向かう。

空いているスペースに納品依頼の品を次々に出していく。


「おっ、この素材丁度足りなくて困っていたんですよ。それにこの薬草をお持ちとは、王都近辺で中々取れなくなっていたので助かります。えっ!?Bランクの魔物の魔石をこんなに所持していたんですか!?」


 倉庫に次々と出されていく物と依頼書を見比べてユメノが嬉しい悲鳴を上げている。

ジルのおかげで大量の納品依頼が一気に捌けてくれたのでギルドとしては大助かりだ。


「一先ずこんなところか。」


「相当な数ですよこれ。ギルドとしては助かりますけど素材の状態を調べるのに少し時間が掛かりそうですね。」


「そこはなるべく早く頼む。明日までに金が欲しいんだ。」


 オークションの為に金が欲しいのに時間が掛かって手に入らなかったら意味が無い。


「明日までとは急ですね。しかし納品依頼をこれだけ消化してもらいましたし、こちらも誠意を見せなければいけませんか。」


 ユメノが倉庫にいるギルド職員を集めて優先的に作業を行う様に伝えてくれた。

早速何人かはジルの出した素材のチェックを行ってくれている。


「これで今日中には終わりそうですね。と言うか終わらせます。」


「それは有り難い。ちなみに納品依頼にはあまり無かったがギルドでは鉱石の買い取りはしていないのか?」


「鉱石ですか?殆ど鍛治屋、武器屋、防具屋に持ち込まれるのでギルドにはあまり入ってこないですね。ギルドに入ってきてもそう言った店に流す事になりますし。」


 持ち込まれる事もあるが結局そう言った鉱石を扱う店に流すので、直接売りに行く者が多い。

ギルドで売ると手間が掛からない分少し安くなってしまうのもあるので売り手は少ない。


「ふむ、王都では伝手が無くてな。ここでも売れるなら買い取ってもらいたい鉱石がある。」


「物によりますけど拝見しますよ。」


「これだ。」


 ジルが取り出したのはエルダードワーフのダナンやオークションに流しているミスリル鉱石だ。


「ミスリル鉱石ですか、王都でも鉱山が近いので結構出回ってはいますが…ん?えっ、このミスリル鉱石って!?」


 何かに気が付いたユメノが至近距離で眺めながら驚愕している。


「こ、この純度はまさか!最近オークションだけで出回っていると言う出所不明の高純度のミスリルインゴットと同じ物では!」


 王都には流していなかったのだが、オークションでの噂をどこからか聞き付けていた様だ。

定期的に出品しているので購入した者が知り合いにいたのかもしれない。


「…ジルさんが出品者だったのですか?」


「我はオークションに自由に出入り出来る立場ではない。出品者は別人だろうな。」


 実際にミスリル鉱石を所持していたのはジルだが出品しているのは協力者のダナンなので事実である。


「ですがこの高純度のミスリル鉱石は正にあのインゴットと同じ純度。査定には自信があるので見間違える筈がありません。」


「まあ、出所なんてどうでもいい事だ。我が欲しいのは金だ。買うか買わないかのどちらかだけだろう?」


「勿論買います!ほ、他にもありますか?」


 あまり出し過ぎると怪しまれると思うので取り敢えずミスリル鉱石を三つ程渡して換金しておく事にした。

それでも他から見れば充分怪しまれる数なのだが、多額の売却金を得たジルと高純度のミスリル鉱石が手に入ったユメノは、どちらも特に気にしていなかった。

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