第32話 呼吸の記憶

うまく呼吸ができなかった。君のことが好きすぎて。頭がボンヤリした。怖いくらい君のことが好きすぎて。彗星が地球に接近した冬の夜に静かに密着する僕たちは、宇宙の片隅で愛を探し合っていた。六畳一間のアパートで、ずっと君と一緒にいられる《永遠》を信じていた、あの頃は確かに存在したんだ。

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