第3話
近接戦闘はレリシアから教えてもらっている僕であるが、魔法に関しては完全独学である。
「ふー」
魔力の使い方はゲーム内で賢者と呼ばれていためちゃくちゃ長く生きていて、最強と言われるほどの魔法使いであったエルフのおじいちゃんが言っていたことを参照する。
魔力量は生まれながらのものではあるけど、それでも鍛えれば結構伸びる……そして、幼い頃の魔力の伸び率はかなり良い。
三歳から五歳と言う年齢で、毎日魔力量を増やす訓練をし続けた僕の魔力量は今や父親を超えた。
膨大な魔力量と賢者直伝の魔力の扱い方。
これを収める僕の魔法使いとしての腕はそこそこいいだろう。
家にある本を参照して、魔法の発動の仕方なども学び、既に魔法の基本とも言える部分も終わらせているからね。
僕に隙はない。
「僕は身体能力クソ雑魚くんだから魔法でカバーしないとね」
五歳児の身体能力には限界がある……自分の体の弱さを魔法で補わなければならない。
どれだけ鍛えようともリーチの差は如何ともし難い。
「……八歳の段階で家は出たいからね」
アレス・フォーエンスの闇落ちフラグ。
それは母親の病が治らないことである。
愛する妻の命を病で失うことを認められなかった父親は魔族の母親を治してやるという発言に飛びつき、そのまま闇落ち。
僕も家族の闇落ちに巻き込まれる形で闇落ち。
正史のフォーエンス家は母親の病気を発端として一族全員で闇落ちする結果となったのだ。
僕の目的である老衰で死ねるような平穏な生活を手に入れるためには母親の病気を治すのは必須条件。
母親の病を治す薬をを作る材料を手に入れるハードルは結構高いので、ゲーム知識を完全に蓄えている僕が手に入れに行かなければならないだろう。
プトスィの刻時、僕はめちゃくちゃハマって、めちゃくちゃやっていたから色々覚えているのだ。
「……案外時間ないんだよな」
母親が病気になるのが僕が九歳の時の話で、寝たきりになるのが十歳、生死をさまよい出すのは十一歳、闇落ちするのが十二歳の話。
母親の病気の進行具合を考えると、八歳の段階で家を出て、十歳までに薬の材料を集めなければいけない……母親に生死をさまようような苦しい思いはさせたくない。
結構僕には時間がないのだ。
後三年でどれだけ強くなれるか……。
「というか時空間魔法難しくない?後にしよ……生活魔法とかそっち先やな」
僕は焦りながらも魔法という奇跡、ゲームで見た技の数々に心を躍らせながら学んでいく。
「アレス様、夕食ですよ」
「はーい」
僕がこもっている書斎にやって来たレリシアの言葉に僕は頷き、本を置いてから立ち上がるのだった。
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