太陽の沈む国

鵜山 定水

〜序章〜

 偉大なる父ホバユキスは空間を創り、自らを分裂させ、ある分裂体は星になり我々に住む地を与え、またある分裂体は生物となり我々に豊かさを与える。それらの分裂体のなかに我々の先祖が存在し彼らが子を成し我々を今日まで生かすことになっていると、そう聖書にはある。

 しかし天より光来し麾下ホバユキスの軍神は自らをジョネストと名乗り真理を告げた。彼は神々の星で産まれたが、罪を犯し、この星へ流刑となった。彼が降り立った地はケンゲ王国とよばれていた。彼は様々な技術を伝え、圧倒的な文明で他国を侵略し強国にのしあがった。とりわけ、原子技術は凄まじく、莫大なエネルギーを産み出すことが出来た。

 彼はファントムという女性に恋をし、彼女に不老を付与した。然し、不死ではないため、老いて死ぬことはないが不死身ではない。一方、彼は不老不死になることを拒んだ。その為、彼は百年で息を引き取り、骨まで燃え尽きるように埋葬された。その後ファントムはすべての技術を掌る者として崇められた。ファントムの子は王家の子を成すことで権力を増大させた。また、別のファントムの子も同じように有力な家系の子を成した。

 一方、ジョネストがもたらした様々な技術は一世代で伝えきれるはずもなく原子技術を始めどんどんと廃れていった。そしてそれと共に領土も減っていった。だが、まだある程度の技術は残っていた。それは、ジョネストが作らせた人工島ジョネスト湖街が技術の書を有していたからである。しかし、そこで浅はかな知識で使用されていたケンゲ王国最後の原子力発電所が事故を起こし、立ち入り不可能となり我が国の領土は更に減少し、ジョネスト光来以前とほぼ同じになった。

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