Spin A Story 〜この理不尽な世界でも歴史好きは辞められない〜

小熊猫

 ……ここはどこだ? 

 周りは暗く、光源が一切ない。


 暗闇しか存在し得ない世界。

 目がおかしくなったかと思えた。


 それもそのはず。

 身体の各機能が正しく機能していないようだ。


 匂いは? 

 ...何も感じない。


 片手をギュッと握ってみたり指の先を見つめてみた事で、それがようやく自分の手であることを認識出来た。

 だけど…身体の一部であるような感じがしない。


 …そもそも地面に立っているのか? 

 宙に浮いているような感覚さえ覚える。


 ……自分は誰だ。

 名前もわからないし、記憶も定かでない。どうしてこのような場所にいるのかさえ…


 ただ…はっきりとわかることは、何かやり残した事…深い後悔…自責の念が心の中を渦巻いていた。

 何に対してそのような想いを抱いているかもわからない。


 …それはとても切なく、胸が締め付けられるような思いだけが思考を刺激する。


 自然と目から涙が溢れる。

 …不思議な気持ちだ。

 ただ…悔しいという想いだけで涙が頬を伝う。

 目から溢れたしずくは何もない空間に落ちた。


 …あぁ、もし次の人生があるならば、後悔のない人生を送りたい………




 その時、暗闇の世界に一筋の糸のような光が差し込んだ。

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