第13話 地上に降臨した神(仮)がチートを撲滅する話 その二
「センパイ、ちーす。どうっすか調子は?」
そんな軽い口調で俺の所に来たギャルっぽい女の子をジト目で出迎える。
こいつはこの世界の神である。神というイメージから程遠い気もするが、ちゃんとした神である。ん?地味顔のお前が言うな?いいのか?俺の心はガラスのハートだぞ?それ以上は危ないからな?フリじゃないからな?
「なんなんすか。いきなりこんな可愛い子をジト目で見たと思ったら、いきなり落ち込んだりして。ウケるんですけど」
「自分で自分自身を傷つけていただけだ。心配するな」
「え、こわ。メンヘラって奴っすか?病んでるセンパイなんて想像できないんですけど、そこんとこどうなん?リリーっち?」
「面白くない程に健康優良児ですよ、神様は。後、私はリリーです」
面白くないのは余計だからね?さり気無くちくちく言葉使わないでね?
「なーんだ。良かったー。私の世界をキューサイする前に倒られちゃったらチョー困る所だったー」
「そこかよ困る所は。嘘でもいいから俺の事心配しろよ。後さぁ………」
言おうか言うまいか迷っていたけど、このままスルーするのもなぁ。
「お前、その偽ギャル、いつまで続けるの?結構たどたどしいからバレバレだぞ?」
「………………」
そう、ギャルっぽい見た目にギャルっぽい口調をしているが、あくまで、っぽいだけで、これは偽物なのだ。
「んもぉぉぉぉぉ!なんでばらすんですかっセンパイ!リリーさんには通用していたでしょ!?」
「いえ、割と無理しているなとは思っていました」
「まじですぅ!?」
マジなんです。こいつの名前はヒカリというのだが、自分に個性がない事を嘆いていて、いつも迷走している愉快な奴だ。もうそれが個性だと思うんだが、そういえば前は中二病になっていたな。
「というかお前さぁ。顔は可愛いんだから、それだけでも十分だろ」
「えっ、可愛い………?」
そうそう。俺なんてよく神かどうか疑われるぐらいだし、大人しくしていれば普通に神様に見られるだろう。お前なら。
「セクハラですか?」
リリーちゃん!?神の間でもそういうのって通用するの!?というか可愛いって言っただけでセクハラとかそんな馬鹿な。なぁーヒカリー?そういうわけじゃないよなー?俺とお前の仲だもんなー?
「………」
顔赤らめて黙るの止めてくれます?これが証拠ですよって冷たい眼でリリーが見てきてるんですけど?
ええい。何でもかんでもハラハラさせよって。そんなハラハラより、この世界はもっとハラハラする事態になってるやろがい!
「で、この世界って後一年で滅亡するんだっけ?」
「センパイーーー。たすけてーーー!!!」
ええい。鬱陶しい。引っ付くな!ただ、事実を確認しているだけだろうが!
「改めて聞きますが、どうしてそんな事になっているんですか」
うん。リリーちゃんの疑問は最もだ。普通、世界はそんなに簡単に壊れない。イレギュラーな魔王とかそんな存在が現れたら別だが、神が監督しているのだからよっぽどの事がないと大丈夫なのだ。
「こいつ馬鹿だから、転生者を千人ぐらい呼んだんだよ。こいつ馬鹿だから」
「馬鹿って二回言った!?」
遠慮しなくても何回でも言ってやるよ。なんだよ転生者が千人いる世界って。しかも、その転生者たち全てにチート能力ついてるからな?馬鹿だろ。
「むしろ、よくまだ世界が保っていると言いますか………」
「えへへ。頑張ってるんですよ。バランス調整神懸ってないですか!?」
神だけにってか。やかましいわ。そもそもバランスうんぬん言うなら最初から呼ぶな。
「仕方なかったんですよー。転生者を受け入れてくれって、あっちからこっちから相談が来て………」
転生する奴ってアクが強い奴が多いからな。自分の世界に入れるのが嫌っていう神は割といるんだ。
「それを全部受け入れていたら千人になった、と」
「………はい」
はぁー。溜息も付きたくなるが、何も考え無しで受け入れたわけではないから怒りにくい。ヒカリは底抜けに優しい奴だから見捨てたくないのだ、そういう奴らを。
「にしても限度があるだろうが。というか何故、全ての転生者にチートが付いているんだ?」
「えーと、元の世界では受け入れられなかったから、なんか特典とかそういうのらしいです」
横流ししてきた神のせいじゃねぇか。おいヒカリ、ちょっとお前に話を持ってきた神の名前を俺に教えろ。
「なんですかセンパイ。地味なのにちょっと顔が怖いんですけど」
んー?俺は何にもせんぞ。ただ、ちょっと口が滑って上の神に言っちゃうだけだ。仕事放棄だと思われて罰くらうかもしれんな?ってか、地味なのに、って言葉入れる必要なかったよね?
「もう一つ質問があるのですが、よろしいですか。今回の話、何故うちの神様に白羽の矢が当たったのでしょうか」
神は自分の世界にあまり干渉してはいけないというルールがある。つまりそれは裏を返せば、他の世界になら干渉してもいい、という事。まぁそれも度が過ぎるとやばいが。
「普段の神様を見ていると無能………。ごくつぶし………。ロリコン………。んん、荒事には向いてないのかと思いますが」
君が俺の事をどんな風に見ているかよくわかったねぇ!無能とかごくつぶしはともかく、俺はロリコンではないからなぁ!?
「え、センパイ、そっち系なんですか………?どうりで私のおっぱいにも靡かないわけですね」
ヒカリくん。勘違いをして貰っては困るよ。断じて違うからね。後、お前のロケットおぱーいは目に毒だから気を付けてるの!無茶苦茶目が吸い込まれそうになるけど、そんな事したら本当にうちの天使にやられかねないからね!
「まぁそれは後で追々聞くとして、リリーさんは知らないんですか?」
追々答えないからね。
「何をでしょうか?」
不思議そうにしているリリーちゃん。まぁ、黙っていたわけではないけど、殊更、自分から言う事でもないしなぁ。
「センパイ、意外と強いんですよ?」
「これで百人目、と」
ヒカリの世界に降りて、勇者を無力化する旅を続ける俺。順調にチートスキルを封印出来ているわけではあるが、最近、俺の事が有名になってきてかなり警戒されているらしい。
「………」
霊体のままで俺の後をついてきているリリーはこの世界に干渉する事も出来ないが、受肉している俺は自由が利く。それにしてもめんどくさいなー。
「センパイ!後、九百五十三人ですよ!」
具体的な数字言うの止めてね。萎えちゃうから。というか、やっぱり千人以上いるよなー!ヒカリー!あれはもう使えないのかー?なんか中二病みたいなやつ。
「あれはとっておきです。あんまり使うと別に悪影響が出ちゃうので。それの縮小版をセンパイにつけてるじゃないですか。それで我慢してください!」
これ、相手に触れないと使えないんだよな。即座にチートスキル封印出来るからマジでアンチチートだけど、転生者たちが小賢しくなってきて、簡単に近寄らせてくれないだよなぁ。
「………ヒカリ様。神様のあの体は特別製というわけではないのですよね?」
霊体モードのヒカリに聞いているリリー。どうでもいいけどお前はこの世界の管理者なんだから、俺についてこなくていいよ。他の仕事しなさい。
「何もしていませんよ?この世界の平均的な能力にしてあります。センパイにぴったりですよね!」
おい。それはどういう意味だ?地味顔だから普通がお似合いってか?おおん?
「やだなー。そんな事思っていませんよー。あっ!お仕事あったの思い出した!それではこのへんでー!」
逃げ足早。別にそこまで怒ってないからいいけどさ。
「………」
「リリーちゃん?」
リリーの視線を追うと、倒れている転生者たちの姿が。チートスキルを封印した影響で意識がなくなっているのだ。命に別状ない。
「………これだけのチートスキル持ちを一人で?神様、貴方は一体………」
あー。まぁ、コツがあるんだよ。それにこいつら、まだ自分のスキルを上手く扱えてなかったからな。警戒されている今からが本番だろうな。
「………」
無言のリリーちゃんの視線が痛い。疑ってるなぁ。ヒカリの言った事は本当だぞ。あんまり疑うとあいつ泣いちゃうから勘弁してね。
「………ひとまず、わかりました。では次の転生者がいる所までナビゲーションします」
助かる。さすがに転生者が何処にいるか、俺にはわからないからな。まぁアンチチートもそうだが、一番のチートはリリーかもしれないな。
全ての転生者の居場所がわかるようにヒカリから力を与えられているから、不意打ちも絶対にくらわないし、こちらからは奇襲し放題だ。
「くっくっくっ。次はどうやって料理してやろうかな」
「神様。すごくあくどい顔をしていますよ」
これぐらいはいいだろー。まだまだ先は遠いし、少しぐらい楽しまないとやってられんぞ。
そうだ。次に行く前にちょっと装備整えよう。何処かに魔法の武器とか防具があるダンジョンあるだろ?
「………案内はしますが、程々にしてください」
お?リリーちゃん、話がわかるねぇ。こういう冒険もやっぱりやんないとな。せっかく世界に降りてるんだし、転生者たちを駆逐しながら楽しんでやるぜー。
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