第28話カイ

僕の名前はカイ

とは言ってもこれはこの世界の名前で、実は俺には前世がある。

そこで僕がよくプレイしていたゲーム【私立ドスケベ学園〜転生したら神様からチート能力を貰ってハーレム生活〜】の世界に転生した。


転生ってだけでも嬉しいのにそれがエロゲの主人公で、更には転生者特典でめちゃくちゃ最強能力をいっぱい持った奴で喜んだのも束の間……


「あれ?最強能力は?」


転生特典を持っていたのはカイでは無く、そこに転生してくる魂の方だった為、僕は最強能力を持ったエロゲ主人公から、単なるエロゲ主人公にランクダウンした。


「マジか……で、でも別に最強能力が無くても、僕はエロゲの主人公だ!そうと決まったら早速過去編で出会っていたヒロイン達のフラグを立てに行くか!」


そうしてカイは少しの違和感を感じながらも、ゲーム本編が始まるまでは、覚えている限りのフラグを立てる為に奔走した。


そんなある日カイは初老の男性に王立学園に来ないかと誘われた事で、ゲーム本編の始まりに胸を高鳴らせた。


そうして入学式当日。

本当は楽しみで全然早起きが出来たが、ゲーム通りに進める為にわざと遅刻して、走って王立学園へと向かった。


そして僕は前方不注意でルイス=ユーティナスとぶつかった。


「あなた!どこ見て走ってるの?資料がバラバラになったじゃない!」

「す、すいません!僕寝坊して……それで急いでて」

「そんな事言われても知りませんわ。どちらもあなたのミスじゃないですか!」

「すいません……」


そう言って僕は頭からを下げたが、内心はやっと始まったゲーム本編に、下心ありありでわくわくしていると、いきなり知らない声が聞こえた。


「ルイス嬢どうかしましたか?そんなに怒っていると折角の可愛いお顔がもったいないですよ?」

「あ、アクト様!…………」


アクト様?

………………アクト=ホワイト!?

な、何でお前がここに居るんだ?

確かお前が登場するのは、ユウリとシャーロットの攻略の時に出てくるだけだったよな?


それに確かアクト=ホワイトって本編だともっと、なんて言うかゲスっぽく無かったっけ?

そんな爽やかイケメンじゃ無かったのは確かだけど……


そんな事を1人考えていると、アクトが地面に散らばった資料を魔法を使い集めて、それをルイスに手渡した。


おいおいおいおい!

本当にちょっと待て!

どう言う事だ?

確かアクト=ホワイトって魔法使えなくて、変な組織と手を組んで王国で禁止されている闇魔法の使い手になるんだったよな?

何で普通に魔法使ってるの?


もしかして僕がこっちの世界に転生したから、ヘン学の世界がバグった?


……!?アレだ!バタフライエフェクトってやつだ!

僕が本来のカイとは違う行動をしてたから、ここまでの改変が起きたんだ!


あのアクト=ホワイトがここまでの聖人に変わっているのだとしたら、もっと変になってるキャラとか出てこないよな?


………………いや、流石に無いか!


カイは考えれば考えるほどドツボに嵌りそうに感じたので、首を横に振り考えるのをやめた。


「よし!学園生活を楽しむぞ!」


そう叫んでカイは事前に学園長から教えられていた自分の教室へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る