第4話温泉と女の裸
「ええ!?エインズワース家に行け?」
父上にいきなり書斎呼ばれたかと思うと、これまたいきなり昨日会ったばかりの婚約者の家に行けとはどう言うことだ?
「あ、あの〜父上それは何かの間違いでは?俺とユウリ様って昨日初めてお会いしましたよね?それとも何ですか?貴族社会では初めてあった婚約者の家に翌日に行くのがマナーなんですか?」
「いや、それが私も向こうもよく分かってないんだよ」
「よく分かっていないですか?」
「ああ、何でも昨日ユウリ嬢が家に帰ってから、またお前と会いたいと言ったらしく、そこからアレよアレよと話が大きくなった結果」
「自分が今日からエインズワース家で1週間生活する事になったと言う訳ですか……」
「まぁ…………そう言うことだな」
はぁ???????
何?どゆこと?何が起こってんの?
アッレ〜?おかしいな俺の記憶だと、ユウリとアクトは確か仲が悪かった筈なんだけど、本当何があった?
「と言うか!父上もそう言う事は、まだ早いって断って下さいよ!それかせめて1週間後とかにしてくださいよ!俺にも心の準備って物があるんですよ!」
「…………それもそうか」
せめて俺がもうちょっとヘン学について思いだしてからにして欲しい。
もし何も知らずに向こうに行って、変な地雷を踏み抜きたくない……
「だが残念だな……エインズワース家からは自慢の温泉を堪能していって欲しいと言われていたんだがな」
ん?
「仕方ない断りの連絡を……」
「父 上 〜 ♡もうっ!そう言う事はもっと早く言ってくださいよ〜!俺がアクト=ホワイトは本日よりエインズワース家でお世話になりたいと思います!」
もうっ!父上のいけずなんだから!温泉があるならもっと早くそう言ってくださいよ!温泉が嫌いな日本人なんて居ませんよ!
にしても久しぶりだな〜温泉
露天風呂あるかな?
温泉があるとわかった俺はるんるん気分で父上に頭を下げてから、スキップをしながら父上の書斎を出た。
そんなアクトを見た父上は後に、「いつも急に何の前触れもなく奇行をする息子だったが、今までで1番気持ちが悪かった」と答えた。
そんな訳で俺は温泉に浸かりたい一心で、直ぐに旅行の準備をすると、両親と最後まで俺について行きたいとゴネていたシャーロットに見送られながら、エインズワース領へと執事の1人が運転する馬車に乗って向かった。
「やって来ました!エインズワース領!!!」
うちの馬車はそれだけでそこらの貴族の屋敷が1つか2つほど買える程の値段のものの為乗り心地は最高で、正直そこらの軽自動車よりかは快適な馬車の旅を楽しみ、到着したのは領主がトワイライト王国随一の魔法の使い手で、更には領地は日本を元に作られた感じの、要素てんこ盛りの領地だった。
残念ながら今は秋という事もあり、桜は見れなかったが、こんなにも日本な感じだったら多分桜ぐらいはあると思う。
そんな事を考えながら馬車に揺られていると、目的地であるエインズワース家に到着した。
そこはこの街並みからもわかる様に、エインズワース家はTHE日本の屋敷という感じの場所だった。
「いや〜にしても良いところだね、ここは」
そんな事を呟きながら馬車を降りると、袴を着込み手には扇子を持った父上と同年代ぐらいの男性が話しかけて来た。
「ハッハッハ!ホワイト公爵の所の息子は、その歳にしてこの良さが分かるのか!何とも天晴れな事だな」
「お久し……いえ、昨日ぶりですねゲイル=エインズワース伯爵」
「ホワイト公爵の息子よ、そんな堅い言い方ではなく、お義父さんと呼んでもいいんだぞ?」
「そうですね、では自分も伯爵がホワイト公爵の息子ではなく、アクトと呼んで頂けるのならお義父さんとお呼びさせて頂きますね」
「なるほど流石はホワイト公爵の……いやアクトくんは中々に度胸があるのだな」
「いえ、これから家族になるのに堅苦しくしても、良いことなんて無いと思っただけですよお義父さん」
見たか!これが必殺頑固そうなジジイには、逆に砕けた感じで行く作戦!
この作戦は俺が前世でより多くのお年玉を回収する為に編み出した必殺の技だ。
「おお!そうだそうだ、アクトくんは温泉には興味あるか?実はうちの領地では温泉が特産品でな」
「めちゃくちゃ興味あります!!!」
「ホッホッホそうかそうか、ならうちにも温泉があるから入ってみるかい?」
「ぜひお願いします!」
そうしてお義父さんに温泉へと案内された俺は、着て来た服を脱ぐと頭に乗せる用のタオルを一枚持って、温泉へと向かった。
ガラガラ…………
温泉と脱衣室を隔てる扉を開き俺が目にしたのは、ちょうど身体を洗っている最中の、温泉の温度が少し高かったのか肌が少し赤み掛かった、体の所々には泡が付いていてその代わりにその他の物を一切身に纏っていない、綺麗な黒髪が背中にへばり付いた、生まれたばかりの姿をしているユウリ=エインズワースがそこには居た。
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