第4話 『2001年宇宙の旅』と『シャイニング』
キューブリックの2作である。
前者は原作を読んだ方がずっと面白いし――というか、読まないと訳が分からない。後者は読まなくても面白いという点で対照的である。
まずは前者について。
実のところ、脚本は原作者とキューブリックとの共同によるものである。なので、分からなかったら、原作買ってねという商売っ気ゆえの、あの造りなのかもしれない。
ただ、あれだけ不親切な造りにもかかわらず大ヒットし、名作に名を連ねるというのは、古いエンタメでは、まま、あることである。『エンタメにも我慢が必要?』というのは、最近、何気に考えたりすることでもある。
ところで、英国出身の原作者クラークは、より高度な知性による人類の導きというテーマを、複数の作品で採用している(『2001年宇宙の旅』も、このうちの1作)。お気づきの方もいらっしゃると想うが、このテーマは、(現実の歴史における)西洋諸列強による植民地支配正当化のためになされた主張と同じである。つまり、より優れた西洋人が、遅れた他の世界の人々を文明化すると。それを、宇宙、そして人類の外というように、より広大な舞台へと敷衍したのである。(上記主張への批判は数多あるが、ここでは、岡倉天心『茶の本』を挙げておこう)
ところで、このテーマを批判的に受け継ぐ形で作品としたものに、デイヴィッド・ブリンの『知性化シリーズ』があり、これが面白い。おすすめは『知性化の嵐3部作』である。とんでもなく長いが、それが苦にならない。しかし、やっぱり絶版。早川さん。何とかしてくれよ、である。
続いて後者。
強烈に脳裏に残るシーンがある。『双子の少女の映像』と『スクリーンへ向けて血が噴き出す場面』である。ただ、ストーリーの展開に連れてというより、それとは無関係に
ユングという人が、もともと人類には
ちなみに、原作者のキングは映画版をまったく気に入っていない。
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