第5幕 回復の兆し
あれから2週間経った。
仕事は前より順調に進めることができている。
ビリのままだが、契約も少しだけ取れてきた。
上手くいかなかったのは、やはり精神面での部分が大きい気がする。
別れてから急に成績が右肩下がりになったのだ。
まるで空から墜落したかのように……。
早く周りの人を信じて話を聞いてもらえばよかった。
裏切られたからと言って、他の人が全員裏切るわけではない。
心配してくれたり支えてくれる人は近くにいる。
それだけでも助けになる。
それにしても最近スカンクがニヤニヤしてるのが気になるが……。
相変わらず嫌味だが何か引っかかるような笑みだ。
気のせいだろうか?
また変なことでも考えているんだろう。
あまり気にしないでおこう。
あの事件は今どうなっているかは不明だ。
刑事はあの日から来ないが、もう既に捕まえたんだろうか。
ニュースを見ようと思っても体が拒絶する。
画面に2人の顔がでてくるから…。
気になりはするが、あまり気にしすぎもよくない。
考えないようにしよう。
今必要なのは目の前の仕事に集中することだ。
今日の仕事が終わり、学から電話がきた。
「よう友和。元気か」
「普通かな。」
「そうか?前より声が明るくなった気がするけど。」
「いつもと変わらないよ。それよりどうした?」
「なんかあった?」
「ああ…。綾葉の葬式。」
「7月2日の土曜日にあるんだけど来るか?」
「亜蘭君が親を説得してなんとかできるようになったらしい。」
正直行きたくはないが…。
亜蘭君のことも心配だし…。
ここで行かないって言うのも悪いな。
「わかった…。行くよ。」
「よかった!断られるかと思ってたよ。」
「色々あったけど高校の友人同士だったしさ…。」
「弔ってあげよう。」
「そうだね…。」
「こっち着いたらまた連絡してくれ。じゃあな。」
弔いか……。
最後あんな関係になった俺に資格なんてあるのか?
友達にすら戻れなかったのに……。
俺は静かにため息をつき、母さんに葬式あるから実家に戻ることを連絡した。
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