#01 始め有るものは必ず終わり有り 後編
二十三時を越えようとしていた。
俺『たそらそ』は、永遠とクエストを周回している。
そろそろマウスの動きを止めてアプデの準備をしていた。
@dorothy2419 一旦落ちるわ
@tsrs おけ
@dorothy2419 アプデが終わったらインする?
@tsrs もち
@dorothy2419 じゃ、アプデ後にギルド集合でおけ?
@tsrs おけ
俺はゲームを落とした。
パソコンにはデスクトップのみが移り、端にチャットソフトが小さく映っているだけだった。
強化クエストを周回していたおかげで沢山素材が手に入った。
あとはランクで手に入るであろう他称強い装備を手に入れるだけだ。
手元にはVRヘッドセットが既に準備してある。
アプデが終わったら早速VRでこのゲーム「グレイセンチネル(通称GS)」でプレイする。
このことは泥cにも伝えてある。
アプデ後、二人でアプデの検証をしつつ、ストーリーを進めることになっていた。
パッチノートには書いてあることが少なかったが、アプデが入るということは多少なりとも修正が入るはず。
絶対にVR対応のためだけにこんな大きなアプデを入れるはずがない。
VR対応は他のサイレントパッチを隠すための運営の策略だと俺は考えている。
「あぁ〜、もうやめたっ! 」
頭が疲れた。
一旦シャワー浴びてリフレッシュしよう。
俺は風呂場へ行き、冷水で頭を洗い始めた。
冷水で頭を洗うと一気に涼しくなり、汗かいた頭がスッキリする。
まぁ、風邪引く可能性あるけど。
そして、頭を洗いながらスマホで音楽を流した。
ネットニュースでお風呂場で音楽聴きながら体を洗うと心が落ち着くらしい。
シャワーを浴び終え、部屋に戻ると既にメンテナンス時間を過ぎていた。
試しにゲームを開いても変わらずの「メンテナンス中」というつまらない言葉だけが映し出される。
この時間がいっちゃん楽しくてむず痒い。
俺は待ちきれずにVRゴーグルを身に付けた状態でテーブルに突っ伏した。
「……っ! 」
あ、やべっ!
俺はハッとして目を覚ました。
目の前にあるはずのモニターがない。
周りを見てもごついパソコンもなければ、身に覚えのあるポスターもない。
突っ伏していたテーブルは見たことない質素な木製テーブル。
ニスが塗ってないせいで手で擦るだけでバリが手に刺さった。
目の前には俺の家にはなかった大きな窓があった。
「ど、何処だここ? 」
目の前には広大な草原と質素な木製建築の家が写っていた。
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