ずっと頭にあったこと~こんな感じ
淡雪
第1話こんな感じ1
この世界の人間は、死んで肉体が朽ちてもここにに留まる。
未練があって離れたがらないのか、見えないものに縛られているのか。
それとももっと遊んでいたいのか……
否、彼等は天界のルールに逆らい、独自に世界を作って成長した
その世界は別の世界(異世界)に住む人間から見れば天国として瞳に映るだろう。
好きな人・家族・ペット・物・風景等と悲しい思いで別れることがないところに魅力を感じているのである。
そんな気持ちもあるのか、“次に生まれ変わるならこの世界で生きたい"と、懇願する者も少なくなかった。
だが、初めから分かっていれば、こんなに窮屈な世界など選ばない。
それでは、この世界で再び人間として生を得る際には、一体どうしているのだろうか?
勿論、昔は異世界と同様に結婚し子供を産むという命の営みが、ごく当たり前のように行われていた。
だが次第に人口が少なくなると、その営みも親近者のみとなり、当然血も濃くなっていく為、おかしな形の肉体を持つ者が産まれる。
そうなれば人間が増えない故に、物質世界であるこの世界が機能しなくなり、やがては崩壊の危機に立たされるのだ。
その光景(ミライ)を避ける為にやるべき事は只一つ。
彼等の異様とも言える程発達した科学技術を応用・駆使し、異世界から連れてくることである。
それらには条件があり、それをクリアした人間のみが、このシステムを利用出来た。
その条件とは、どんな容姿・年齢でも、自分自身に死が近づいていると感じた時から、ここの時間軸でいう5年の間に、自身が持つ生体の型と一致している人間を探して処置することと定められている。
出来ることなら魂の型まで一致していると処置も簡単だ。
この期間内に
勿論例外もいるが、殆どの魂は何かを感じて生きていたいという気持ちが強い為、この残酷とも見て取れるシステムを利用していた。
では、異世界の人口がおかしくなるのかというと、意外とそういうわけでもなく、何らかの理由で生まれ変わりを希望する人間だけをターゲットにしているから、角度を変えて見れば、強ち悪い話ではないのかもしれない。
この徹底した管理システムにより、異世界の人工推移は上手く保たれていた。
しかし、何処にでも例外はあるらしく……
とある少女が町中で見つけたのは、絵描きを生業としている、同年代の黒髪の少女だった。
彼女は少女に“気が付いたらここにいた”と説明する。
それを聞いた少女は一瞬だけ愕然としたが、淡々と話を続ける彼女に耳を傾け続けた。
そして、いつしか確信する。
黒髪の少女は、システムに選ばれなかったにも拘らず、無意識にこちら側へ足を踏み入れたイレギュラーと呼ばれる人物だと。
令和4(2022)年1月15日20:19~17:36作成
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