あずくんとグランマ





 あずくんはグランマのことがだいすき。


 グランマはママのママ。ふつうの日本人のおばあちゃんです。

 グランマが「グランマと呼んで」とあずくんに言うので、あずくんはちゃんとグランマを「グランマ」と呼ぶのです。




 遠くに住んでいてなかなか会えないグランマ。

 車と船で7時間の移動も、あずくんはがんばってがまんします。

 だって、だいすきなグランマに会えるんですから。




 グランマはあずくんと元気いっぱい遊んでくれます。

 グランマはあずくんのために、美味しい料理を作ってくれます。

 グランマはあずくんのだいすきなフルーツも、いっぱい用意してくれます。




 グランマのお庭には、春にはさくらんぼがなります。

 それをむしっては口に入れて、じょうずに種をだすあずくん。

 あまーいさくらんぼに、あずくんの手は止まりません。


 グランマのおうちのまわりは、水遊びできる場所がいっぱい。

 夏はあっちこっちで水遊びをたのしんで、びしょびしょのまま歩いて帰ってきます。


 秋になると、大きな大きなお祭りが開催されます。夜通しのお祭りで、きらきらきれいなぼんぼりを追いかけます。


 年越しは、一年でいちばん楽しい日。

 「あずくんと年越し」は、また別の機会に。




 まだ「お別れ」がわからないあずくん。

 車に乗ってだいぶ走ったころにようやく、グランマとバイバイしたことを理解します。


 急にさみしさがこみあげるあずくん。


「グランマー……グランマー……

 あずくんのグランマー……」


 と寂しそうに声をあげていました。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る