明日の昨日−福寿草の空-

@kisaragisetsunaa

思い出

大学の夏休み、僕は友人のハルキと共に補講に来ていた、必修科目授業で単位を落とした生徒への救済措置だ。


補講が終わった後、大学キャンパス外でいつものようい二人で会話していた。


「あっついなぁ…今日気温40℃超えてるらしいぜ」

「そうだな……」

「夏は暑いけど、ユウタの愛想はいつも冷たいな、心の中にクーラーでもついてるのか?」

「いや……僕は昔からこんな感じだろ……」

「昔はもっと明るかったし、こころの中には照明と暖炉が設備されてたぜ」

「昔の僕が照明と暖炉なら、今のハルキはサウナ中に暖房つけながら蒙古タンメンを食べてるって感じだな。」

「サウナに暖房にタンメンって今頃おれは熱中症で倒れてないか?」


売店で購入したアイスを溶かしながらいつものように何気ない会話をしていた。

ハルキと会話してると気が楽だ、話題提供も欠かさないし、僕の反応にも時たまツッコミを入れてくれる。


そんな何気ない会話をしてる最中ハルキが呟いた


「またこの季節か、もう8年たったよな…」



ハルキの一言で、中学二年の夏の出来事がフラッシュバックのように脳内を照らしていく。


「そうだな……」


いつものような反応をして、僕はハルキの様子を伺った

「まさか……ユウタ覚えてないのか……?」

「覚えてるよ……ただ……」

「ただ?」

「嫌な思い出だからさ……」


あの夏はどこか寂しく、そしてどこか透明感のある短くて儚い


そんな一週間だった








この時期になると、祖父の家に一週間ほど遊びに行く。毎年の楽しみだ

中学二年生の今でもこの田舎風景はどこか安心感を感じる。白い風車が立ち上がり、アクセントとして緑の草木が生い茂る



「おーい!ハルキー!はやくー!こっちだよー!」

「ユウタちょっと走るの早くねえか!まててって」



意気揚々とハルキを先導しながら、実家の祖父の家に向かった、

前もって祖父に小学生からの友人のハルキを連れて行って良いかきいたら、喜んで承諾してくれた、


祖父の家に着くと、そこには白くツヤのある髪の毛をなびかせながら、汚されてる感じの一切しない足を見せつけながらたっている。

同い年くらいの少女だろうか?


「あら!こんにちは、ここじゃあまり見ない顔ね!」

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