　母から聞いた話。

　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　昔、母が母の姉とその姉の旦那さんと一緒にラーメンを食べに行ったそうな。

　出て来た熱々のラーメンをみんなでズルズルッとすすって食べていた最中（さなか）。

　ふと、目の前でラーメンをすすっている姉の旦那さんを見ると……

「お義兄さん、鼻っ！」

　姉の旦那さんは、鼻水を垂らしていたらしい。

　それはまるで子供のようだったとか。

　となりに座っていた姉も、

「汚いっ！鼻かみなよもうっ！」

　と、旦那さんをバシバシ叩いたが、当の本人はどこ吹く風と、徐（おもむろ）にティッシュを取り出して鼻をかみ、何事も無かったかのようにまたズルズルとラーメンを食べ始めたのだという。

「鼻の感覚無いのっ？」

　と怒る姉に、旦那さんは

「仕方ないだろ、出るもんは出るんだから」

　と、また鼻水を垂らし始め……

　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　母の姉の旦那さん、私にとっては伯父になるが、もう既に伯父は他界している。

　けれども、ラーメンを食べる時に、今でもたまに話題に上る。

「あの時あの人、きったなかったよねぇっ！鼻水垂らしながらラーメン食べてっ！」

「そうそう、鼻水食べてんだがラーメン食べてんだから分かったもんじゃないよね、まったく」

　まぁ、内容的には嬉しくない話題だろうが、思い出話をするだけでも供養になるとも言うし。

　喜んでいてくれるといいな（笑）

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