第18話 良性じゃないの?

 毎年掛かりつけ医で健康診断を行っている母。

 その結果、レントゲンで気になる影を主治医が発見し、大きな病院でいくつか検査したところ、ガンであることが分かった。

 ところがそのガン、割と珍しいものであったらしく、肺にはまったく影もなくて医師にも「肺は綺麗です」と言われているにも関わらず、病名は

 肺癌

 とのこと。(実際はもうちょっと長ったらしい名前だったものの、略すと肺癌)


 治療のための入院前に一度掛かりつけ医の元を訪れて、そのことを話した母に主治医は言った。


「平さん、それじゃないの?」


 いやいや。

 癌って、言われてるんすけど(^^;)


 治療のため1月半ほど入院し、退院してからも母は治療を続けているが、日常的に服用している薬は掛かりつけ医に処方して貰っているため、定期的に掛かりつけ医の元を訪れている。

 母の治療経過はすこぶる良好で、検査結果を伝える度に、主治医は


「平さん、それやっぱりじゃないの?」


 と言うらしい。

 だーかーら!

 癌って、診断されてるんだってばっ(笑)

 癌って、腫瘍でしょっ!


 でも。

 そうやって言って貰えるくらい治療の経過が良好なのは、幸せなことだなと感じる。

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