(二)-23
下島の家を爆破されたことを知った郷美は叫び狂い、声を上げて泣いた。土日はずっとそんな状態で部屋からほとんど出なかったが、ようやく泣き止んで部屋から出てきて、下島の顔を再び見てしまった。それが液晶越しであったとしても、死んだと思っていた、もう二度と会えないと思っていた彼が生きていたのだ。
彼を失ってどん底まで突き落とされた彼女からすれば、つり上がった頬肉の間で横に広がった上下の唇の隙間から出る言葉のメロディを再び耳にすることのできた衝撃と喜びは、地球どころかこの宇宙空間の全てよりも大きく満たして充足してくれるものだった。
そして郷美は、お手伝いさんの恩田さん夫妻の制止を一切聞かずにシェアハウスを飛び出していったのだった。
(続く)
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