(二)-21

 そんなことがあったため、美佳子は山吹郷美が出ていくのは理解できた。

 しかし、実際には郷美が出て行く理由は、美佳子が想像しているのとは違っていた。

 それは昼頃、お手伝いさんの恩田さん夫妻がシェアハウス内の掃除やメンテナンスをしているときに起きた。

 目を覚ました郷美はダイニングに来て遅い朝食を力なく口に入れながらテレビを付けたときであった。

 郷美は温田さんが用意してくれた、すっかり冷めたトーストを口に放り込んで三度目の咀嚼であごを閉じたところでその動きを止め、テレビの液晶画面を凝視することになった。

 そこには先日爆破された初台のタワーマンションの部屋の主が映し出されていた。


(続く)

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