第7話 いざ、エトワール魔法学校へ

「やあ、待たせたね」

「いえ、手続きから三日間も十分休めました」

「それは何よりだ」


 ボク達三人のエトワール魔法学校への入学手続きが三日掛けて終わり、クレス様……もといクレス校長が馬車を引っ提げて来た。

 専用の馬車のようで、馬の方もすごいが馬車の規模も定期馬車とは比較にならない。

 流石は勇者だったお父さんのパーティーの一人。

 

 そうそう。

 何で今はクレス校長呼びになってるかというと、『様呼びは不要だよ』と言われたからね。


「この馬車で、エトワール魔法学校が存在する【ミミルの町】へ向かいます」

「確かこの馬車でもここから8時間程だったっけ」

「ああ、そうだ。 ちゃんとトイレ休憩も取っての時間だがね」


 トイレ休憩があるのは安心かな。

 ワルジールでは、トイレに関するトラウマが多いから、不安だったんだよね。


「じゃあ、それぞれの準備が終わったら出発しよう」


 クレス校長がボク達の準備が終わり次第、出発すると告げた。

 なので、ボクとミーナとジャック君は荷物を纏めて馬車に積み込み、ボクはトイレを済ませた。


「じゃあ、親父。 行ってくるよ」

「ああ、頑張れよ」

「エトワールで頑張ってきますね、お父さんにお母さん」

「ええ。 アリスちゃんを支えてあげるようにね」


 ミーナとジャック君は、家族に挨拶をしていた。

 夏休みになるまでは、寮での生活だからね。

 これに関しては、ワルジール魔法学校と変わりはないかな。


「じゃあ、お母さん。 ボクも行ってくるよ。 お父さんにもよろしく言っといて」

「アリスも頑張るのよ。 クレス、改めて娘をお願いね」

「ああ、任せてくれ。 では、出発だ」

「「「はいっ!!」」」


 トイレを済ませたボクも、お母さんに挨拶をする。

 そして、改めてお母さんからクレス校長にボクの事を託した。

 挨拶を済ませたボク達を馬車に乗せて、いよいよ【エトワール魔法学校】がある【ミミルの町】へ向けて馬車を走らせのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「それにしても、フリスク一派は酷いですね。 アリスさんをトイレに行かせないまま、失禁させるなんて」

「あれは本当に辛かったよ。 何度泣いたことか」

「あれを見て、私はイリスさんに密告してクレームをいれさせたんですけどね」

「それでも奴らはもみ消した。 そして、いじめなんてなかった事にされたんだよ」


 馬車を走らせる間に、ボクがワルジールでの出来事をファナにも話した。

 トイレの件については、本当に何度か泣いたしね。

 ミーナからもクレームの話をしたところ、ファナモ表情を歪めていたね。


「よし、休憩所に着くぞ。 そこでトイレ休憩だ」


 クレス校長から休憩所に着くので、そこでトイレ休憩をすると言ってきた。

 オルクスの町を出て、ここまで大体4時間。

 丁度、したくなってきたので、ボクは馬車を降りてトイレに向かった。


 その後、ミーナとファナもトイレを済ませてたようだ。


「この街道に沿うと、魔物が来ないんですね」

「特殊な結界が張ってあるらしくてな。 盗賊も魔物も襲撃出来ないようにしているらしい。 ただ、クーデルカ王国限定のようだが……」


 再度馬車に乗ったボクは、ふと気になった事をクレス校長に聞いてみた。

 街道に沿って進んでいるが、魔物や盗賊と遭遇したことがない。

 その疑問に答えたクレス校長曰く、街道に特殊な結界が張ってあるらしい。

 ただ、この仕込みはクーデルカ王国エリア限定みたいだが、他国じゃ街道でも襲撃されるのだろうか?


「そういえば、私の母親曰く、近隣の【アルムステル公国】だと街道でも盗賊に襲撃される事があると」

「え!? ミーナのお母さんって、アルムステル公国生まれなの?」

「うん」


 ミーナの母親がクーデルカ王国の隣の【アルムステル公国】生まれなのは初めて聞いたな。

 その人曰く、そこの国の街道は盗賊に襲われる事もあるのだとか……。

 国柄の違いなんだろうね。

 となると、冒険者の資格修得条件も国ごとに違うんだろうか?

 ここクーデルカ王国は、最低でも魔法学校を卒業しないといけないからね。


「さ、もうすぐミミルの町に到着するぞ。 降りる準備をしてくれ」

「あ、あの先に見える建物が?」

「はい。 【エトワール魔法学校】です」


 トイレ休憩からさらに4時間。

 予定通りにミミルの町にもうすぐ到着する。

 そして、遠くからボク達が通う【エトワール魔法学校】が見えたのだった。


 結構、規模が大きいんだなぁ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る