第四話「再会」
「うおおおお!」
ショッピングモールの駐車場。
レッドこと優斗が吼えながら突進した。
向かう先には一体のルード。
「クラッシュアタック!」
レッドの全身が赤く輝く砲弾となってルードに衝突した。
「るおおおお!!!!!」
ルードは全身を大きく震わせると、光の粒子となってかき消えた。
「そっちも片付いたようだな」
レッドがルードを撃退して一息つくと、ブルーこと村上が歩み寄ってきた。
「はい。村……ブルーのほうも終わったみたいですね」
「ああ。複数のルードが同時に出てくるのは珍しいが、レッドがいてくれたお陰で助かったよ」
「お役に立てたなら何よりです」
そこでブルーのインストが甲高い音を発した。小川社長からの連絡だ。
『ブルー、レッド。鷹地市の東部と西部で騒ぎが起きたわ。人間ではない何かが暴れているみたい。戦いが終わったばかりで悪いけど、二手に分かれて現場に向かってちょうだい』
「「了解!」」
レッドは鷹地市東部の神社に到着した。
「あれか」
レッドの視線の先には、神社の本殿を破壊しているルードの姿があった。
「神社を壊すなんて罰当たりな奴だな」
言いながらレッドはルードに向かっていった。
レッドに気づいたのか、ルードはレッドの方に向き直ると、
「るおおおお!」
一声吠えて、宙に浮き上がった。
「何!?」
驚愕するレッドの眼前で、ルードは百メートル以上の高さまで上昇し、静止した。
「空を飛べるのか……インスト! バトルスーツで空を飛ぶことはできないのか!?」
『飛行機能はない』
「くそっ……」
空を見上げて歯噛みするレッド。
そこへ上空のルードから地上に向かって何かが放たれた。
「!?」
そのサッカーボール大の黒い球体は、空中を不規則に移動しながらレッドに襲いかかってきた。
「くそっ、何だこれは!」
レッドは毒づきながら応戦する。かわしたり弾いたりするが、黒い球体は執拗に攻撃してくる。
そこへ、
「ホールド!」
という声とともに桃色の光が黒い球体を包み込んだかと思うと、黒い球体は動きを止めて地面に落ちた。
「な、何だ?」
レッドが声の方を見ると、そこにはオレンジ色の衣装の少女が立っていた。
先日の魔法少女である。
「君は……フラワーガール」
「あら? わたしのことを知っているの?」
「いや、まあ……有名だし……それより、どうしてここに?」
「騒ぎがあったから、わたしが追いかけているマジックアイテムが暴れているのかと思ったの。でも違ったみたいね」
と、二人が話していると、そこへ割り込む声があった。
「そのとおりラ! ボクたちとは関係ないラ! さっさと帰るラ!」
フラワーガールの陰からぴょこんと飛び出してきたそれは、白いリスのような姿をしており、長いしっぽが2本あった。
「こら! ファイブル! そんなこと言わないの! 困っている人を放っておけるわけないでしょ!」
「何そいつ」
「この子はファイブル。わたしのおつきの妖精だよ。魔法界から来たの」
素朴な疑問を口にするレッドに、フラワーガールが回答する。
「なるほど……って、いや、話し込んでる場合じゃない! まだルードの本体が残ってる!」
レッドが上空を見上げると、先ほどと変わらずルードは健在である。
「あいつを何とかしないと……」
「なるほど。空にいるから手を出せないのね? じゃあ、わたしがあなたを飛ばしてあげようか?」
「えっ、できるのか!?」
「できるよ……ユーフライ!」
フラワーガールがステッキをレッドに向けて呪文を唱えると、レッドの体がふわりと浮き上がった。
「おお!?」
「あとは自分の意志で行きたい方向に飛べるよ。ただ、効果時間は限られているから気をつけて」
「ありがとう!」
レッドはフラワーガールに礼を言うと、上空のルードに向かって飛んでいった。
「るおおおお!」
近づいてくるレッドに向かって、ルードは鞭のような触手を出して振るう。
「こんなもので……止まるかあっ!」
触手に弾かれそうになりながらも、
「クラッシュアタック!」
必殺技を放つ。
「るおおおお!」
ルードは空中に散っていった。
レッドが地上に戻ると、黒い球体も消えていた。
「いやあ、ありがとう。また助けてもらっちゃったな」
「また……?」
礼を言うレッドに、フラワーガールは
「あ、いや、何でもない!」
レッドは慌ててごまかす。
「そう? まあ、それはともかく力になれたのなら良かった。あなたがあの怪物と戦っているんだね」
「ああ。俺ともう一人、先輩とで戦っている」
「そういえば前にネットで見た人は青かったね」
「ああ。その人はブルー。俺はレッドだ」
「そうなんだ。知ってるみたいだけど、私はフラワーガール。よろしくね」
「ああ、よろしく」
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