犬の骨 39
私のアパートの部屋は、トイレ風呂洗面所が一緒になった、所謂3点ユニットバスだ。非常に狭く収納も少ない為、入浴する際はユニットバスの外の廊下に着替えを置き、身体を拭いてからドアを開け廊下の着替えを取る。
この時、廊下の灯りを点けないでいると、視界の隅に妙な物が見える事がある。
それは必ずドアを開けて右下辺りの空間に見え、オレンジ色の球体に見える。
大きさや色的にバスケットボールのような物に見えるが、暗い為ハッキリとは見えない。
私は視力が低く眼鏡を使用しているが、概ね風呂上りに着替えを取る際に見えるので余計に見えないという事もある。
廊下の灯りを点け球体があった辺りを確認してもそれらしき物は無い。
眼鏡をかけ確認すればはっきりわかると思うが、毎回見える訳では無いのでつい忘れてしまう。
しかし気になるので、一度着替えを取る際に必ず眼鏡をかけドアを開ける事を徹底してみた。
4日目の夜に、ついに眼鏡をかけた状態で球体を見る事ができた。
それはバスケットボール大の、異様に丸い男の顔で、虚ろな目で私を見ていた。
びっくりしてすぐに灯りをつけたが、もうそこに顔はいなかった。
それ以降、その部屋から引っ越すまで、廊下の灯りは点けっぱなしにして過ごした。
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