犬の骨 28

私の地元の町には「夕闇時にそこを通ってはいけない」という噂のある道がある。

山の中を通る旧道で、通るとしても車で通るような場所なのだが、そこを夕闇時に車で走っていて、ふとバックミラーを覗くと、車と同じくらい大きな髑髏がこちらを追いかけてきている、という噂であった。


地元の人間もほとんどの人は信じておらず、単なる怪談だと思っていたが、私の父は昔そこを夕闇時にバイクで通って、その際に髑髏に遭遇したらしい。


曰く、

高さは大型トラック程もある巨大な髑髏で、よく見ると下にムカデのように小さな足がたくさんあって、走って追いかけてきていた。

どんなにスピードを出しても引き離せず、恐ろしかったが、街に近づく辺りで気づいたらいなくなっていた。


いまだに例の道の話題になると、父は真剣な顔でこの話をする。

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