犬の骨 4

「襖や扉を中途半端に開けっ放しにするな。あの世に繋がる」

これは祖母が私によく言っていた事だ。

開けるなら開ける、閉めるなら閉めるでしっかりしろ、という注意からそのような言い方をしたのだと思っていた。


大人になり、ある会社に就職した。

その会社の給湯室の扉は建付けが悪いらしく、完全に閉まる事はなかった。

その給湯室は私の席の真横にある。

使わない時は電気を消している為に真っ暗だが、時折その暗闇から何かの視線を感じる事がある。

その時、私はどうしても給湯室の方を見る事ができない。

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