秀才と凡才
「今日は何して遊ぼうか?」
放課後、教室で友達と話していた彼女は、明るくて元気な女子高生だった。
「カラオケに行こうよ。新曲がたくさん入ってるらしいよ」
「それいいね。じゃあ、みんなで行こうか」
彼女は笑顔で言った。彼女は音楽が大好きで、歌うことも上手だった。
「あ、でも、一緒に行けない人がいるかも」
友達が言った。
「誰?」
彼女は聞いた。
「あの人」
友達は教室の隅に座っている男子生徒を指さした。彼は黙って本を読んでいた。彼は学校一の秀才で、成績もスポーツも抜群だった。しかし、人付き合いが苦手で、クラスメートとあまり話さなかった。
「ああ、あの人か。彼と話したことある?」
彼女は尋ねた。
「ないよ。彼はいつも一人でいるし、話しかけても無視されるらしいよ」
友達が答えた。
「そうなんだ。でも、彼も一緒に楽しみたいと思ってるかもしれないよ」
彼女は言った。
「そんなことないよ。彼は自分の世界に閉じこもってるんだから」
友達が言った。
「でも……」
彼女は言葉を濁した。実は、彼女は彼に興味があった。彼はクールでミステリアスで、何を考えているのかわからなかった。彼女は彼の本当の姿を知りたかった。
「じゃあ、私が誘ってみるよ」
彼女は勇気を出して言った。
「え?本気?」
友達が驚いた。
「うん。だって、みんな仲良くしたいじゃない」
彼女は笑顔で言った。そして、彼の方に歩いて行った。
「すみません、ちょっとお時間よろしいですか?」
彼女は丁寧に声をかけた。
「……何?」
彼は本を閉じて、冷たく言った。
「実はね、私たちカラオケに行こうと思ってるんだけど、あなたも一緒に行きませんか?」
彼女は明るく誘った。
「……断る」
彼は即答した。
「え?でも、楽しいですよ。歌うの好きじゃないですか?」
彼女は食い下がった。
「嫌いだ」
彼は言った。
「そうなんですか……じゃあ、他に何か好きなことありますか?」
彼女は尋ねた。
「……勉強」
彼は答えた。
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