第3話 元彼の本性

「退屈って、それだけでどこかに行っちゃうのか?


今のこの時間を生きている君は・・・・」


 そんなことを言っているけど、幼なじみなのだから、それぐらいはわかってほしい。

 だけど、これ以上に私の理想を押しつけないでほしかった。

 

 目の前に来ることが、鬱陶しい。


「私は、他に好きな人がいるの。


それだけはわかって?」


 グルームには、私のことを諦めてほしい。

 だけど、どうすればいいかなんてわからない。

 だけど、ここで説得しておかないと、この先もつけ回される気がしてくるし、また誘拐されての監禁生活なんていや。


「好きな人って、誰だよ?


そいつの名前、教えてくれないか?」


「教えなきゃ駄目なの?


私は、どちらにしても君の対しての気持ちはとっくの通りにない」


 私は冷たく答えた。

 ここは下手に優しくすると、気を持たれてしまいそうでいやだった。


「本当に僕に対しての熱がないのか・・・?」


「何回、言わせるつもりなの?」


 私は優しくなんてしない。

 何度でも、何回でも、この人を突き放すよ。

 

「考え直すとか、できないのか?」


「直せない。


この先も、ずっとそんなことはないと思う」


「思う?


ということは、不確定ではないんだね?」


 しまった。

 この人に曖昧な表現をしてはいけないんだ。


 なら、はっきり言おう。


「確実なことを言うよ。


私は、君が大嫌い。


鬱陶しいから、消えてほしんだよ」


「消えるのは、僕じゃなくて、相手の男の方だよ?


男に何かそそのかされていないか?


君は、僕にそんなことを言わない。


そんなことを言うような人じゃないってことは、僕が一番わかっている」


 私はカチンときて、叫んでしまった。


「わかっていない・・・・!


君は私のことを、ちっともわかってない!


過去のことを、いつまでも持ち出してこないで!


私は、もう過去の人じゃないの!」


 グルームは、ショックを受けている様子だけど、これでいいんだ。

 私は、曖昧にしたくない。


「こうやって、話している間にも時は流れているの!


私の気持ちだって、いつまでも同じなわけじゃない!」


「そうか・・・・・」


 ここで、グルームはどこからかナイフを取り出した。


 私は、恐怖で声も出せなくなっていた。


「君との出会いを、やり直さないとだね・・・・」


 この人は、何を言っているんだろう?


「僕は探すよ。


君が好きって言ってくれる未来をね」


 グルームが私にナイフで襲いかかろうとしたところに、竜さんがグルームの腕をつかんだ。


「何をしているの?」


「竜さん!」


 私は嬉しかった。

 竜さんが来てくれたから。


「この子に何をするつもりだ?


グルーム」

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