第8話 確信めいたヒント

「心も、体もってどういうこと?


もしかして、変態的なこと考えていない?」


「変態?


そうかもね」


 グルームは私の髪に触りながら、匂いを嗅いだ。


「ちょっ!」


「すごーく、いい匂い。


どんなシャンプー、使っているの?」


「薬局でも買えるシャンプーだよ。


グルームって、謎多いよね」


「そうかな?


全然、普通だと思うけど?


変わっているのは、ブライドの方じゃないか。


まあいいや。


髪も綺麗に伸ばしてくれているし、女の子らしい体になってくれてさ、後で赤いビキニ来てくれない?」


「やっぱ、変態じゃん。


こんなの着ないし、着るわけがない!」


「僕も、こう見えても男だよ。


変態なことぐらい、考えるって。


ブライドが、少女漫画の王子様に憧れるのと同じくらいにね」


「それとこれとは、話が別だよ!


全く、スケベなんだから!」


 私は、とうとう顔を真っ赤にして怒ってしまった。


 だけど、グルームはなぜかニコニコと笑っていた。


「感情的なのも、かわいいなあ。


罰として、今からトイレに行かせないから」


「トイレ行けないなら、どうしたらいいの?」


「漏らしていいよ」


「そんなことしたら、お嫁に行けない!」


「大丈夫だから。


おむつ生活を送ることになっても、愛してる。


トイレのやり方忘れても、だ」


「何それ?


私がおばあちゃんになるってこと?


そのくらいなら、グルームもおじいちゃんになるってことじゃん!」


「ならない」


 グルームに、急に真顔で言われた。


「え?」


「君は時間の経過とともに年をとるかもしれない。


だけど、僕は年をとらないから、こうして君のお世話ができる。


これって、得じゃない?」


「年をとらないって、冗談でしょう?


人間なんだから、年をとることぐらいあるんじゃない?」


 グルームは一瞬考え込んだ表情をしてから、答えた。


「人間?


まあ、そうかもね。


でも、君はこうして確実に年をとることは決まっているし、僕はそのお世話をしなくてはならない日がくる。


今だってそうだ」


「それは、君がこうして縛っているから」


「あはは、それもそうだね。


とにかく、僕のことは気にしなくても平気だよ。


不死ってわけじゃないけど、こう見えても不老だからさ。


じゃあね。


お休み。


トイレは僕の許可がおりるまで、行けないと思っておいてね」


 こうして、グルームは扉を閉めた。


 グルームがいなくなってから、恐怖の方が襲ってきた。


 あの違和感は、本物だ・・・・!

 

 グルームとの会話の中で、さりげなく違和感とかだしているし、もしかしたら時間がループしていることは間違いないかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る