結果は……



「大丈夫……?かなり遊ばれてたけど」

「どうかね……くそっ」


あれから巨大なスライムに立ち向かったは

いいが、奴はあまりに液体過ぎた。魔法は

受け流され、剣は刺さるどころか滑って傷も

つけられやしない。そうこうしてる内に体内に飲み込まれてしまった俺は執拗に耳を弄り回され、層いっぱいに悲鳴と笑い声を響かせてしまった


「それにしてもすごい羨まし……厄介なモンスターだったね。私どうなるかと」

「待望の眼差しで眺めてた癖に」

「あうっ……バレてた」


しかし、問題はこれからだ。あのスライムの

様にこの先、どんなモンスターが出現するか

分から無い。もしかしたらもっと厄介なスキルを持ってるかもしれ無い


「やっぱり一旦ログアウトするか。おーい」


俺は空間に向かって「ログアウト」と叫んだ。何も出ないのでもう一回

やはり何も出ない


「何で……ログアウト出来ない?方法が変わったのか?」

「……あ!」

「なんだよ」

「もしかしたら初心者ルールが発動してるのかも。ゲームオーバーになっても三時間はログアウト出来ないってやつ」

「懐かしいなおい」


このダンジョンには初心者ルールと言う者が存在する。初心者は弱い、故に負けて何度もログインし直す必要がある。それを無くすためにこのダンジョンに初めて来てから1ヶ月は滞在三時間ログアウト出来ないと言った感じ。あ、現実世界とここの時間の流れは違うから三時間ぐらいなら現実世界の時間は気にしなくて良い


「つまり三時間はこの層を散歩して無きゃ

ダメって事か。最低なルールだな」

「私にとっては最高のルールだけど?ふふ」


舌なめずりをして、美子は俺の耳を見た。

モンスターよりも厄介かもしれない


そうして、宛も無く歩いていると胸にしまっていたデバイスが振動した

メールが届いたらしい、差出人は運営だ


"運営よりお知らせ 現在ダンジョン内にて

本来存在しない筈の獣耳を生やしたユーザー

が確認されています モンスターではありませんので見かけたら罵倒や暴力など絶対にお止め下さい "


「だってよ」

デバイスを見せると、美子はあたふたした

「み、耳を触るぐらいなら禁止行為にならないと思うけど。罵倒はしてないし」

「さっきスライムに飲み込まれた時に眺めてたあれは俺にとって暴力みたいなものだったがな」

「だってすごく羨……強そうだったんだもん」

「もういい、耳さえ触んなければどうでもいいわ」

「触らなければ……?」

「舐めるのもダメだからな」

「バレた!」


しかし、メールは逆効果だったのでは。

このメールが送られた事によりロビー以外の

ユーザーにも俺の存在が知られてしまった

訳でランキング上位者までも


「なあちょっとお願いがあるんだが」

「なに?耳が触れないなら聞かないよ」

「いや、いつか触らせてやるからさ、その代わり俺の耳をやたら触ろうとする奴がいたら

容赦なく魔法を浴びせてほしいんだ」

「マジ?」

「マジ」


それを伝えた途端、美子は万歳した。何故

俺がこんな馬鹿な頼み事をしたかって?簡単だよ、いざと言う時には美子とその他の奴らが戦ってる隙に逃げるためさ


「で、そのいつかっていつ?今かな?」

「二時間ぐらい待てよ」

「二時間ね、分かった!」


ま、二時間後がどうなってるか分からない。

もしかしたらコイツの方が先にゲームオーバーになってるかもな。一層といえど


「よーし!そんならどんどん魔法使っちゃお

うかなぁ!火でも水でも!」

「頼もしいなあ」


そんな中、地響きだ。デカい、コイツは

ヤバい奴が来る。俺はそう感じた


「お?さっそく敵ですかな!よーし!思いっきりドーン!!」

「あ!」


美子は敵が来ても居ないのに、どこかへ魔法を放った。それは暗闇を照らす火の様な輝き

そして、その後に聞こえた誰かの悲鳴は暗闇を暗闇たらしめる一つとなった


「あれ……多分初心者に直撃したぞ」

「いいの、いいの。どうせ耳狙いだから」


だが、尚も地響きは止まない。確実に何かがこっちに近づいている。巨大な何かが


「とりあえず逃げようぜ、美子……」






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