第6話 数学とかこれ難しすぎだろ
「悪いな二人とも俺ちょっと勉強してから帰るわ」
「はあ。お前が?なんか変なもんでも食った?」
「失礼な!もうすぐテストだろ。テスト勉強だよ!」
「なんか最近のユウキ変なんだよなー。まあ分かった。じゃあ俺ら先帰ってるなー」
そう言い残して沢田たちは教室を出て行った。
エセミュージシャンと商社マンコンビはまだ不真面目だな。
まあエセミュージシャンの方はずっと不真面目か。
しばらくすると三河さんが教室に入ってきた。
「や、やあ三河さん」
「まだいたんですね。睡眠は気持ちよかったですか?」
「え、まあ…はい大変気持ちの良い上質な睡眠でした」
「授業からぶっ通しで寝ていましたもんね。また倒れられたら困るので今日は早く寝てください」
「はい…」
相変わらず淡白な喋り方で、痛いところをついてくる人だな。
そう思いつつ会話を続けた。
「三河さんはこんな時間まで何してるの?」
「勉強ですよ。もうすぐテスト近いですから」
「でもこんな時間まで一人で勉強って寂しくないの?」
俺は気になっている疑問をぶつけた。
「勉強なんて一人でするものですよ。友達とする勉強なんて遊びの延長線上にすぎません」
「なるほど」
相変わらず真面目だった。そして淡白な返答だった。
俺はなんとか三河さんと仲良くなるためにわからない問題を聞くことにした。
「み、三河さん。その…問題教えて欲しいんだけど」
「いいですよ。なんの問題ですか?」
よっし。第一関門突破!
すんなり教えてもらえるようだ。
「その、因数分解を…」
「クス」
三河さんは急にクスリと笑い出した。
「え、どうしたの?」
「いや、本当に因数分解解けないんだなーと思いまして笑」
「え…忘れたんだよ笑」
「因数分解ってこないだとは言いませんけど、忘れるぐらい前じゃありませんよ」
「いやー俺バカだからさ。どうか教えてください」
「分かりました。いいですか。ここを…」
因数分解の説明を聞いても聞いた瞬間説明は頭から消えていった。
(高校時代こんなの解いてたのかよ)
次第に頭が真っ白になってきた。
「ってな感じです。立川さん、立川さん聞いてます?」
「か、かろうじて聞いてまーす…」
「これじゃあ赤点どころの話ではないですね。とりあえず頑張ってください」
「は、はーい」
もう俺の頭はパンクしていた。
「じゃあ私帰りますので、それでは」
「うん、ありがとう。また明日」
ロボットみたいな人だと思ってたけど三河さん意外といい人なんだな。
俺も帰るか。
俺はリュックを担ぎ学校から出て家路についた。
あたりは夕焼けで綺麗な街並みだった。
「綺麗だな」
そう独り言を呟きながら歩いてると、後ろから声がした。
「だよな」
「うわっ。びっくりした」
「俺だ」
「なんだよ神様かよ。お前ストーカーかよ」
「誰がお前なんかストーカーするか」
振り返ると神様がいた。
「三河さんといい感じじゃないか」
「はあ、ってお前また覗いてたのかよ。この覗き魔」
「失礼な。観察と言ってくれ」
「どっちも同じだわ。なんか覗かれてると分かってるとお風呂とか入りにくいじゃん」
「んな汚らしいもんは覗かない」
「失礼だな。とういうことは神様、もしかして妹とかも…」
「
「通報します」
話をしながら歩いていると駅まで到着した。
「俺、これから電車乗って帰るけど変態はいつまでついてくんの?」
「家まで」
「マジ通報すんぞ」
「冗談だ、これでおさらばするよ。じゃあまた明日」
「おう」
電車に乗り家へ帰ると妹がで出迎えてくれた。
「おにい、おかえり。今日は遅かったね」
「ああ、ただいま。ちょっと勉強しててな」
そのまま部屋に戻ろうとしたがあることを思い出した。
「ともえ、今日からバスタオルをしてお風呂に入りなさい」
「はあ、おにい何言ってんの?」
「いいから」
「頭でもおかしくなったの?妹の風呂事情に首突っ込んでくるとか変態?」
「いや、まあとりあえずタオル巻いとけ」
俺はそのまま部屋に戻った。
(あいつのせいで俺が変態扱いじゃねーかあの貧乏神)
今日は寝不足だったのでさっさと夕食を食べてお風呂に入ってベットに入った。
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