二、レンズ迷宮
二、レンズ迷宮
レンズ迷宮。
エルディアでは最大級の迷宮だ。
多くの食い詰め貧乏人、流れ者が生活のために潜る場所として知られている。
リンとレンは迷宮探索者だ。
迷宮に潜って売れそうな物を持ち帰り、金にして生活している。
2人とも魔法使いだが、リンは肉体強化に長けており、レンは元素魔法に長けている。
なので、前衛はリンが担当し、後方支援はレンが担当している。
装備的には、リンが皮鎧にロングソード。背中にはバックパックと盾。
皮の兜を被っている。サイドアームとしてショートソードを腰に差している。
レンは厚手の布の服にブレストプレート。山高帽を被っている。
武器はスタッフ。スタッフは武器としても、魔力の補助・増幅器としても使える。
サイドアームとして、腰にダガーを差している。
背中にはバックパック。
「アンデッドだ」
リンが言った。
青白い光がふわふわと寄ってくる。
視認できる限りは5体。
成仏できずにさまよっている亡霊、レイスかファントムだろう。
「おっけー、プロテクト!」
レンがベルトの装備からアイテムを取り、叫ぶ。
アンデッドには神聖魔法が効果的だ。
レンは元素魔法に長けているが、神聖魔法はそれほどでもない。
なので、アイテムに宿った法力を解放して、術を行使する。
アイテムから光が発せられ、解放された法力がリンとレンの周囲に纏わりつく。
この神聖法力がアンデッドからの攻撃を防ぐ。
亡霊たちはプロテクトに弾かれ、リンとレンに触れることができない。
「エンチャント!」
レンはその簡に元素魔法を使った。
魔力付与の魔法だ。
武器に魔力が与えられ、物理攻撃の効かない敵にも攻撃が通るようになる。
「おっしゃ!」
リンは手にしたロングソードを振るった。
『ぎょえええ』
亡霊たちは魔力でぶっ叩かれて、怯んだ。
「それ、それぇ!」
リンは調子に乗ってぶん殴り続ける。
『ぎゃああ!』
亡霊たちは、たまらず回れ右をして逃げた。
「待て、待てぇ!」
リンが追いかけた。
「あ、待ってよ、リン!」
レンがその後を追う。
しばらく追いかけっこをしていたが、
「リン、ちょっと待って!」
レンが叫んだ。
「あれ、ここどこ?」
リンは周囲を見回す。
「深追い! 深追いしすぎ!」
レンがリンの肩を押える。
『フウウウウ』
声が聞こえてきた。
呼吸音っぽい。
(何か、いる……)
リンは直感した。
(だから言ったのに!)
レンは小声でリンを責める。
『生者ダ』
『生者ダ』
『生キテ返スナ…』
「げッ…!」
「フィーンド!?」
リンとレンはつぶやいた。
フィーンド。
悪霊。
幽霊の中では亡霊より悪意に寄っている連中である。
迷宮で死亡した者の中には成仏できず、迷宮内をさまよっている者もいる。
その中で悪人は悪霊として醸成されてゆく。
これが更に時を経てゆくと悪魔に変貌すると言われている。
視界に入るところだけでも、10体はいる。
「どどど、どうしよう!?」
「おおお、落ち着いて!」
リンとレンは慌てている。
「まだプロテクト・ジュエルはあるから!」
レンは腰の装備から石を取り出す。
『ドッセエエェイ!』
フィーンドが奇声を発して、石を叩き落とした。
物質化である。
「うえ?」
『ソレヲ寄越セェ!』
フィーンドたちがレンに殺到した。
「ぎゃあああっ!?」
レンは慌てて逃げる。
『待テエッ!』
フィーンドたちがレンを追う。
「クソ、レンから離れろ!」
リンがフィーンドたちを追いかける。
なんかの連鎖が形成された。
『ソリャア!』
フィーンドの1人が飛びかかり、レンは背中に組み付かれる。
「いやあぁdfghjkl;!?」
レンは叫んだが、
『引キ倒セッ』
フィーンドはラガーマンよろしく次々と組み付き、レンを引き倒した。
「こらぁ!」
リンがフィーンドの背中に切りつけるが、
カチィッ
刃が弾かれた。
物理攻撃が効かない。
エンチャントの効果も切れてしまっている。
「うげっ!」
リンが驚いた瞬間、
『コイツモ、ヤッチマエ!』
『オオッ!』
『合点承知!』
なんか古くさい事を言って、フィーンドたちはリンに群がった。
「ぎょええええ!!!」
リンはレンの事など忘れて、逃げた。
が、
すぐに追いつかれてしまう。
『ソレェ!』
『タッチダウン!』
『倒シチマエバ、コッチノモン!』
フィーンドたちは謎のチャントを唱えながら、リンを組み敷こうとする。
「誰か、助け…」
「うわあ!」
リンとレンが悲鳴を上げた時である。
「うぎゃああああああッ!!!」
上空から叫び声とともに、何かが落下してきた。
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