お嬢様とご主人様の苦悩

ネコ山

変態執事とお嬢様

執事:…お嬢様、いつまでこのまま引きこもるおつもりですか?


お嬢様:ほっといてよ…


執事:(ため息)帰宅されて3時間、夕食も冷めてしまいました


お嬢様:ごはん、いらない


執事:本日の夕食は奥様がお作りになられたのに、ですか?


お嬢様:…おなか、空いてない


-ドア越しにお腹の音が鳴る


お嬢様:あっ…!!


執事:お嬢様のお腹は言葉と違って正直ですね


お嬢様:もう!いいからほっといてよ!!


執事:いいえ、このままにしておけません


お嬢様:貴方は仕事だから私の相手をしているだけでしょ

私がほっといてって言ってるんだから、ほっといてよ!


執事:このままにはしておけませんと、

先ほど申しましたよ


お嬢様:…もう!いい!!

私このまま寝るから!


執事:浴室へは行かないのですか?


お嬢様:朝入る!


執事:それは残念です


お嬢様:なんで?


執事:(大きなため息)それはそれは大変残念です


お嬢様:残念て…何が残念なのよ


執事:せっかく私自らお嬢様のお背中を流そうと思っておりましたのに…


お嬢様:は、はいぃいいいい?!?!


執事:奥様のショッピングのお供をした際に購入した…

このイスラエル産、死海の泥パックでお嬢様の美肌に更なる磨きをと考えておりましたのに…非常に残念です…


お嬢様:ちょ、ちょっと待ったぁ!!


執事:お嬢様が!!出てきてくださった!!


-ドアが勢いよく開く


お嬢様:そりゃあ、あんなこと言われたら飛び出てくるわよ!


執事:そんなに血相を変えられて…私に背中を流して欲しくて欲しくてたまらなくなってお部屋から出てきてくださったのですね!!


お嬢様:ちーがーうー!!

さっき堂々と問題発言してたわね、貴方!!


執事:お嬢様へ仕える執事がお嬢様のお背中を流す…そこになんの問題があるのですか?


お嬢様:問題を問題としてとらえてないわ…この変態執事……!!


執事:変態…執事…??


お嬢様:己が変態という自覚無いから余計に怖いわ…(ため息)


執事:それはさておき、お嬢様が引きこもりにならなくて安心しました…


お嬢様:は、はぁ……


執事:帰宅されたときは死んだ魚の目をしていたお嬢様が今はギラギラしていらっしゃる…(ホロリ)


お嬢様:死んだ魚の目とかギラギラしてるとか主に対して失礼よ!


執事:(笑いながら)大変失礼致しました…


お嬢様:発言はアレだけど…

(小声で)ありがと


執事:元気になられたようで何よりです


お嬢様:貴方と話してたらお腹空いちゃった

今日の夕食、温め直してくれる?


執事:はい、かしこまりました


お嬢様:お願いね(微笑む)


-夕食後


執事:夕食も済ませましたし、浴室へ参りましょう!


お嬢様:は…はいぃい?!!


執事:先ほど話したイスラエル産、死海の泥パックで美肌メイク致しましょう!!


執事:さあ、お嬢様


お嬢様:え、ええええ?!!


-お嬢様、お姫様抱っこされる


執事:死海の泥と一緒に今日一日の嫌なことをキレイさっぱり全部洗い流しましょう!!


お嬢様:降ろしなさい!!しかもなんでお姫様抱っこなの?!


執事:そんなの決まっているではありませんか


お嬢様:ん?…(小声で)なんか嫌な予感…


執事:私はお嬢様ラブ!!執事歴3年のベテランでございますので!!


お嬢様:(ため息)…質問と答えが噛み合ってないのよ


執事:ん?お嬢様…?


お嬢様:何よ


執事:この辺り…大胸筋、発達されましたか?


お嬢様:は?


執事:ですから、お嬢様の大胸筋が以前より大きくなっているかと…


お嬢様:…


執事:…


お嬢様:(照れながら)大胸筋じゃないわよ!!筋肉つける努力はしてないわよ!!


執事:筋肉をつける努力は、してないのですね?


お嬢様:そ…そうよ…


執事:ですが、以前よりもワンピースの胸元がキツそうに見えます


お嬢様:そ…そう?


執事:なので!確認の為にも私自らお嬢様のお背中を流します!!


お嬢様:どうしてそうなるの!!


執事:私、お嬢様大好き執事会の会長ですので!!お嬢様の成長を見届ける義務がございます!!


お嬢様:何その会!

そしてまた変な回答きた!!

とか言ってる間に浴室に着いちゃった!!


執事:さあ、お嬢様…お召し物をこちらのカゴへ…


執事:はっ!!(何かに気付く)


お嬢様:今度は何!


執事:執事たるもの主の脱衣のお手伝いをせねばなりません


お嬢様:え?え?!何言っちゃってるのよ!!


執事:遠慮は無用です、お嬢様…


お嬢様:ひとりでお風呂入るから!!

とにかくここから出てってー!!


-浴槽にて


お嬢様:(M)失礼でド変態な執事だけど、私のことを一番に考えてくれるのは彼なのよね…


-ドア越しに声が聞こえる


執事:お嬢様〜お背中流しますので入りますよ〜


お嬢様:だーかーらー!!入ってくるなー!!


-完-

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