第14話 土地の買い占めと出資の依頼
両親に宝くじが当たったら土地を買いたいと言えば、夢があって良いねと言われ難なくOKされた。
きっと宝くじは当たらないと思っていたのだろう。当選金額4億6千万円に驚いた両親に土地を買う約束を反故にしないでね!と念を押したら棚ぼたのお金だからパーッと使って良いと了承が出た。
私が稼いだ金額に少し金銭が麻痺している部分もあるかもしれない。それは私だけのことであって、両親が稼いでいるお金の使い道に関してはしっかりとしている。
私は両親の了承を貰って、母を連れて1997年に新幹線が通る駅が出来る宮城県の土地と1999年に都市計画で土地が高騰するさいたま市浦和区の土地を購入することにした。
「
どちらも寂れた町なので土地の価格が異様に安い。
「大丈夫だよ。土地の調査もしたからね。」
母の耳元で
「裏情報だけど宮城県は新幹線が通る駅が出来るし、埼玉は都市開発されて有名なベットタウンになるんだよ。」
ぽそぽそと話せば驚いた顔をされた。
「そんな情報どこから拾って来たの?」
その疑問に前世ですとは言えないので
「芸能関係だよ。」
無難な答えを返しておいた。
土地が安かったお陰で広範囲で土地を買い占めることが出来た。あとは売る時期が来た時に高値で売れば良いだけだ。
私は上機嫌に家に帰るのであった。
習い事に子役とモデルをこなしつつ毎日を過ごしていると自宅にお客さんが来ていた。
「お母さん、ただいま。」
どこかで見たことがある顔だが気のせいかと思って自室に向かおうとすると
「
母が見知らぬ男性二人を私の客だと言った。
「先に荷物を置いてくるよ。」
自室に行ってランドセルを置いてリビングに戻った。
「初めまして、
完全記憶があるので彼等とは知り合いではない。
「初めまして、
「谷
にこにこと人の好い笑顔で挨拶をする彼等の名前に疑問符が浮かぶ。やはり記憶にない。
「実はね、君にお願いがあって来たんだ。」
「お願いですか?」
「クーグルやママゾンの筆頭株主になったでしょう?それに無名のEMMの株も大量に購入したと聞いてます。」
市川の言葉に
「そうですね、それと何か関係でもあるんですか?どうしてその事を御存じなのですか?」
少しばかり警戒を滲ませる。
子供が筆頭株主になったことで三社では凄い騒ぎになったのは、それぞれの社長から聞いている。
「クーグルとママゾンに就職していた元同僚から話を聞いたんです。小学生の子供が筆頭株主になった話題は有名な話ですよ。」
谷の言葉に納得し
「それでは何故私の所へ?」
もう一つの質問の答えを催促した。
「私達に融資をして欲しい。」
市川の言葉に母が
「融資ですって!貴方達、子供に向かって何を言ってるの!?」
怒りを
「母さんは黙ってて、先ずは谷さんと市川さんがどんな会社で、どのような商品を売り出すのか知りたいな。売れると確信したらそれぞれ2億の融資をするよ。それで貴方達の会社の株を購入するのでどうかな?」
2億の言葉に二人はごくりと喉を鳴らした。
「経営の事が分からないだろうと思って話を進めるならこの話は無かったことにするよ。」
二人はカバンから書類を取り出した。
手渡された書類を読み進める。
谷は携帯電話と並行してノートパソコンの開発及び販売の企画書だった。市川はインターネット関連のサービスを国内外問わずに展開する企画書だった。
「開発は谷さんで、サービス提供は市川さんの分担にしているのは面白いね。実現の目途は立ってるの?」
「パナソナックが提携開発の約束を取り付けてます。」
谷の言葉に日本最大手開発先じゃないか。一昔前は自動車産業だったが最近では高スペックなパソコンや電化製品を出してきている。
「良いね、あそこと提携しているなら安心だね。市川さんは?」
「アメリカのウォルト社、ピアー社、中国のタイバオ社と提携しました。国内外にネット通販を拡大させます。」
市川の提携先も大手だ。特にピアー社は2008年にアイポンの独占販売を契約することになる。これによってコフトバンクの株価は一気に跳ね上がるのだ。
「市川さんが売りに出すのは何が主流なのかな?」
「他企業の出店での手数料になります。ゆくゆくは通販・旅行・銀行・通信関係など様々な分野を展開する予定です。」
谷ほど興味がそそられるわけではないが、
一番良い時期に保有する株を売り飛ばそうと思う。
「私としては融資に問題ないかな。でも社会人じゃないから父さんに相談してから返答するね。」
合計4億の大金を私一人で動かす事は出来ないので本日は家族会議になるだろう。両親を説得しなくちゃならない。
二人は私の返事に満足したのか
「「宜しくお願いします。」」
頭を下げたて帰っていった。
父に企画書を見せて助言を貰い、怒れる母を宥めて融資を決定したのだった。
母が預かっていた彼等の連絡先に電話し、融資する旨を伝えると大層喜んでいた。
こうして私は未来のコフトバンクと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます