ツナ缶と水道水

如月 はる

鮮明な記憶

僕は小さい頃の記憶が鮮明に残っている。


産まれてまだ3才くらいの時の記憶だろうか。


印象に残っているのは母が字幕も無い洋画を観て笑っていた事だ。


夕方になると着飾って毎晩どこかへ行く

僕は毎日デリバリーされたピザを食べ買い与えられた玩具で1人遊ぶ毎日だった。


父と過ごした記憶は無く夜は1人で眠り昼は母が寝ている隣で1人遊びをしていた。


ある日の事

母が電話で誰かと揉めているのを聞いた。


「もう面倒みれない、引き取って」


幼かった僕にもその言葉は理解できた。


母は僕に言う。

「お父さんのところに行っても元気でね、ごめんね」


僕は頷くだけだった。


そうして僕は父の元へと引き取られた。

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