第24話 皇帝陛下とゼクスの失墜

【決闘】は1年生が4年生に勝利すると言う大波乱の結果で終わったが…納得が出来ずに苛立つ者が居ての。そう、第一皇子ゼクス殿下だ。


「我が弟達に気遣い負けてやるとはな、まぁ良い、セレンだったか?お前は特別に我が可愛がってやるぞ!さぁ、我が元へと来るのだ!」


 もの凄い勘違いをしてる『脳内お花畑』の殿下が、下衆な笑みを浮かべて私にを命令してくる。しかも大勢の観衆がいる闘技場内でだよ?


「兄様、時と場所を弁える以前に、人としての資質に問題がある発言ですよ!」

「うるさい!妹の分際で兄に口答えをするな!」


 理不尽な発言をセレン様が咎めると、ゼクス殿下は更に機嫌が悪くなり大声をあげたの。


「兄上、私の友人を侮辱した事に対して【決闘】を申し込みましょうか?」


 普段は冷静なスレイン様が、怒りを込めてゼクス殿下に対して【決闘】を申し込むと言った。


「愚弟が何を言うか!今の発言自体が将来の皇帝となる私への不敬になるのだぞ!」


 ゼクス殿下は思わぬ展開になった事で、完全に『ブチ切れ』状態となり理解不能な発言をする。


「兄弟間において不敬などある訳が無いだろう。馬鹿な行動を慎め、仮にもお前は第一皇子なのだぞ!」


 声が聞こえた瞬間に、ゼクス殿下は顔を青ざめながらも、声のする方へ顔を向けて口を開いた。


「ち、父上!なぜ学園に居られるのですか?」

「我が子の通う学園なのだ。なにか問題が起これば逐一報告が届くので出向いて来たのだ。しかし、お前には呆れ果てて掛ける言葉も思い付かぬぞ」

「わ、私は皇帝となる者として威厳を……」

「お前を次期皇帝と誰が决めた?ゼクス、スレイン、セイレーンの3人が皇位継承権を持ち、横並びの状態だったが、お前は後退したと思え!」


 皇帝の登場で、ゼクス殿下の威厳も消え失せて下を向いてしまった。


【決闘】を観に来た生徒達の前で、皇位継承権に付いての発言があった。


 ゼクス殿下が、次期皇帝の最有力候補から外れたと思う生徒も多い筈だ。この出来事が生徒達の親元まで届く事になるのは、生徒の大半が貴族なのだから当然で、ゼクス殿下の今後に多大な影響を及ぼす事になる。


「闘技場に集まる生徒達に改めて伝える。『学園は全てに平等である』そして努力する優秀な者を帝国は重用する。日々の精進に励め!」


 その言葉を発して、皇帝は闘技場を後にしたの。『チラッ』と私の方へ視線を向けた気がしたけど、流石に自意識過剰だよね。


➖➖➖➖皇帝の視点➖➖➖➖

 第一皇子ゼクスの目に余る行動を取っていると聞き【決闘】が行われる日に学園へと向かった。


 当然、結果次第では呆れた内容を正す事にするが、スレインなら4年相手でも負ける事は無いと思ったのだが、あの少女はいったい何者だ?

 たった1人で4年を、いや、現役騎士のコールまで倒したぞ?流石のスレインでもコール相手は勝てるかどうか…それをあの少女は軽く倒した。


 平民なので調べても何も出ないだろうが、念の為に身辺調査だけはさせるか、あの少女は必ず帝国の宝となると確信できる。

 スレインのとして迎える事も考えて置くべきだな。


※何をしても目立ち過ぎるセレスティアだった…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る