第15話 混乱

取り敢えず三日月は俺に対して協力するとは言った。

それを信じながら、と思っていたのだが。

帰り道で一緒の道になった若葉が俺に向いてくる。


すいません。こんな会議をして先輩に対して申し訳ないのですが、と言いながら。

俺は言葉に若葉を見てみる。

若葉は眉を顰める。


「.....私は.....正直言って三日月さんを信頼してないんですよね」


「.....それはどういう意味だ?」


「三日月さんの事ですがお兄ちゃんの洗脳がまだ解けてないと思っています」


「.....洗脳が.....解けてないって!?」


「そうです。.....彼女はあくまでも上から目線ですよね。.....彼氏の事を何とも思ってない部分もありますが.....結局、別れてもないので。だから怪しいです。.....なのでこれは提案なんですが」


立ち止まって公園を見る若葉。

それから私は三日月さんには協力しますが。

私の本拠地は先輩達の所に配置してくれませんか、と向いてくる。

俺はその言葉に、!、と思いながら若葉を見る。

若葉は、私は三日月さんの事を全面的に信頼してない、とも言う。


「.....三日月さんは無闇に信頼したら危険です。残念ながら信頼上、私も大丈夫とは言えませんが。でも三日月さんは最もマズイと思います」


「.....」


「先輩に協力したいのもあります。如何でしょうか?」


「考えておく。.....今は何も言えない」


そんな事を言いながら俺は若葉を見る。

すると若葉は、検討してくれて有難う御座います。因みに家.....こっちにあるので、と切り出す。

俺は、アパートに住んでいるのか、と聞く。

その言葉に若葉は、はい、と俺を見る。


「私は考えて家を出ました。実家に居たらお兄ちゃんと良い身の危険を感じますので」


「.....まあそこら辺は.....確かにそうかな」


「はい。では一旦.....失礼します」


それから帰って行く若葉を見送ってから。

そのまま歩いて帰宅する.....と。

家の前に龍騎が居た。

俺をニコッとしながら待っている。

その姿に真剣な顔になる俺。


「お前。何をしに来た」


「何をしに来た、と言えば。まあ.....端的に言うなら忠告しに来たかな」


「忠告だと」


「.....俺の内面をあまり探るのは止めた方が良いぞ。危険な目に遭う。君もそうだけどね」


「.....」


俺はポストを見る。

そして郵便物を取り出してから。

お前の外道さは良く分かっているから。

今更何も驚かないが、と言う。

それから睨みつける。


「お前の事は心底ただ気持ち悪い。.....妹も家族も女子も支配して満足か。こんなの崇拝も言わない」


「言っただろう?これは世界平和の為だってね。崇拝とかそんなの考えてもないな」


「お前がやっているのは世界の支配だ。.....平和とかじゃない」


「俺はあくまで幸せにしているつもりだ。.....色々な人達を」


「.....帰れ。.....もう二度と家に来るな」


それから、はいはい、と言いながら龍騎は立ち去ろうとした時。

龍騎は俺に向いてきた。

そして、まあとにかく詮索はしない方が良い。.....互いの為にね、と言いながら笑顔で去って行く。

不気味さマックスだった。


「.....」


俺は顎に手を添えてから。

そのまま盛大に溜息を吐きつつ。

家に入る。

すると隠れていた様な奏多が出て来た。

帰った?、と聞いてくる。


「.....奏多。隠れていたのか」


「悟られない様にした。.....あの人怖いから」


「そうだな。取り敢えずはそれで正解だと思う」


「.....有り得ないよねやっている事が」


「有り得ないというか気持ち悪い」


一言でそうバッサリと言いながら俺は眉を顰める。

すると奏多は、実は.....その。目線を無数に感じて、と言ってくる。

俺は、?、を浮かべた。

そして奏多は、気持ち悪い視線というか殺意のある視線だった。それでずっと隠れていたってのもある、と奏多は俺に向く。


「そうだったのか」


「うん.....何だったんだろう。あの視線」


「.....」


「若宮の視線なのかな」


「若宮から視線は感じれない。意味不明な視線だから。.....だから取り敢えず別の視線じゃないかな」


そんな会話をしていると。

何かサイレンが聞こえてきた。

俺達は、火事かな、とか話していると。


何故かそのタイミングでインターフォンが鳴った。

それから、先輩!、と声がする。

玄関を開けると唇を噛んでいる若葉が。

何だコイツ?


「.....どうした?」


「.....私の実家。.....何ていうか家族が住んでいる実家が燃えています。今」


「何!?」


俺は今の家事はもしかして、と思いながら、龍騎の家が燃えたのか!?、と愕然として表に飛び出す。

すると南の方角で黒い煙がもくもくと上がっているのに気が付いた。

何だ!?誰が燃やしたのだ!?

俺は唖然としながら若葉を見てみる。


「何かその。窓がいきなり割れてから火が勢い良く投げ込まれて.....」


「誰がやったんだ!?」


「わ、分かりません。女子が2人ほど居たみたいです」


「龍騎は!?」


「お兄ちゃんはその。何処かに今は行ってます」


そうなるともしやその女子は無関係?

龍騎が火をつけたのか?

俺は考えるが。


だけど奴がそんな間抜けな犯罪に加担する様な事をするとは思えない。

となるとやっぱり女子が投げ入れた?

誰がやったんだ、と思っていると。

若葉は、訳が分かりませんが、と言いながらこう言う。


「その。女子達、みんな胡乱な目をしていました。そして1人がこう言ったそうです。.....若宮龍騎を必ずしばく、と」


「.....成程な」


もしかしたら反撃かもしれないが。

何れにせよ重罪だ。

犯罪だろ。

思いながら、お前は大丈夫なのか、と聞く。

すると若葉は、そうですね.....、と言いながら困惑する。


「これアパートに居たら電話があって.....それで」


「マジか」


「怖いです。.....誰がやったにせよ放火はダメ.....恨みがあっても」


「そうだな.....」


すると奏多が、行かなくて良いですか?、と若葉に聞く。

若葉は、私が行っても邪魔になります、と言う。

でも警察が来ると思うので戻ります、と戻り始めた。

その背中に、若葉、と声を掛ける。


「何かあったら来てくれよ」


「.....はい」


今は力になれないが。

消防車とか消防団員や警察とかに任せるしかない。

しかし誰がやったんだこれは?

そんな事を考えながら俺は黒煙を見た。

伊藤先輩とかじゃない事を祈りたいが.....。

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