発声恐怖症

 わたしの 声が 戻ったとして

 使うことも なく ただ書いて

 それをみせて 会話 をしている

 自分が声を 出す のが怖いから


 かすれた その声は

 風切り音が 混じっていて

 その言葉が 聞き取れぬほど

 消えそうな 声なのです

 

 消えたはずの その歌は

 入力欄に 打ち込まれて

 消えたはずの その歌を

 機械が 歌いました


 忘れられた その歌は

 文字と楽譜 にだけ 刻まれて

 忘れられたその歌を

 キカイがうたっています


 私の代わりに その歌を

 機械に歌ってもらいます

 声を出すのが怖いから

 私は発声恐怖症

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