塵の記憶

アラママス

第一章 記憶の整理

記憶の書庫

ある日のことでした

私は上から呼び出され

異動を言い渡されました

その先は

記憶を整理する

役目の仕事です


この仕事は過酷な仕事です

先輩たちはもう生きてはいない

この仕事は過酷な仕事です

姿は写真だけ


ある日のことでした

後ろ指を指されました

そうして誰かがこう言った

どうして

まだ生きてるの

その一言でした


この仕事は過酷な仕事です

私はもうじき潰れそうです

この仕事は過酷な仕事です

消えてもいいだろか


ある日のことでした

仕事で引き出しを開けました

中には

潰れた肉体が

そこにありました


この仕事は過酷な仕事です

私はもうじきこうなるだろう

この仕事は過酷な仕事です

それしかわからない


ある日のことでした

その肉体を取り出しました

そうしたらその肉体が

足を引きました


この仕事は過酷な仕事です

絶対にここには来てはいけない

この仕事は過酷な仕事です

戻れなくなりました


この仕事は過酷な仕事です

もう腕しか動かないや

この仕事は過酷な仕事です

これだけ伝えたい


この仕事は過酷な仕事です

紙がすぐそこにあったので

この仕事は過酷な仕事です

それだけ書き込んだ


それを引き出しに挟んだ


外から見えるように

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る