第36話 最終決戦⑥


「れいら!大丈夫ですの!?」

 みずきと武が月宮・グングニルの分身達との戦いを始めた頃、ほたるは必死にれいらの傷口を治療していた。


「ほたる……私の事は良いから、今戦ってる二人の援護をして下さい……」

 れいらはほたるにそう言いながら心配させまいと、笑顔を作る。しかし、れいらの右手は既に無く、傷口は痛々しい物だった。だから明らかに無理をしているれいらに対してほたるは、


「ほたるはれいらを見捨てる事は出来ませんわ!貴方が死んでは皆が悲しみますわ!だからまずは自分を優先してくださいまし!」

 そう力強く怒鳴った。

 その声を聞いたれいらは、ほたるに気圧され、

「……ッ!分かりました。では、私の事を少々守って下さい。」

 そう、ほたるに助けを求めた。

 そしてそれに対してほたるは当然、

「当たり前ですわ!」

 力強く笑い、そう言った。


 これまで一度もほたるの助けを求めなかったれいらが、ほたるに助けを求めた。その事が、ほたるは限りなく嬉しかった。


 その頃みずきと武は大量の月宮・グングニルの分身達と戦っていた。

「はぁぁぁ!」

 武の一振りで5、6体の月宮・グングニルの分身達が吹き飛ぶ。

「やはり貴方も力をあげていましたか。」

 本体の月宮・グングニルは、自分に危害が加わらない少し離れた所で武にそう言う。

「お前らか?スレイヤー武道会の時に大量に災害獣を召喚したんわ。」

「えぇ、そうですよ。まぁ、災害獣を召喚したのは地場雷さんですが。」


「そうかそうか……お前らがつかさを……」

 武はそう言い、強く自身の武器であるラグナロクを握りしめる。そして、

「まずはお前からや。。」

 月宮・グングニルを指差しそう言った。

 その瞬間、武の身体に風が纏われていく。武はグングニルを握り直しこう言った。

亡き友の風タイフーンキング!!」



 

 その頃かんたは、月宮・グングニルや地場雷が言っていた「主様」を探していた。

「はぁぁぁ!」

 前に立ち塞がる月宮・グングニルの分身達を神威で吹き飛ばす。すると、また新しい月宮・グングニルの分身が後ろからやってくる。さっきからこれをずっと繰り返していた。


 しかし、しばらくそれを続けていると、月宮・グングニルの分身達は追いかけて来なくなった。

 すると目の前に一人の男が立ちはだかる。

「よくここまで来たな。」

「地場雷...!」

 かんたの目の前に立ち塞がったのは地場雷だった。

「お前らの親玉はどこだ?」

 かんたは雷にそう聞く。

「俺の奥だよ。進みたければ俺を倒すんだな。」

 雷はかんたを挑発する様にそう言った。するとその瞬間、かんたは視界から消え、

「邪魔だ、どけ。」

「ぐぁ!?」

 一瞬にして雷の首を飛ばした。

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