第30話 戦いの火蓋
かんたとみずきがプロスレイヤーになってから2日が経った日。かんたとみずきは、長官室に呼ばれていた。
「どんな用かしらね」
「なんだろうな」
かんたとみずきはそんな風に会話をしながら長官室の扉を開けて中に入った。するとそこには、
「おう、久しぶりやなお二人さん。」
岩崎武が居た。武を見たかんたはそこで改めて武もスレイヤー育成学校を辞めてプロのスレイヤーになった事を思い出し、
「岩崎か、ちゃんと面と向かって話すのは初めてじゃないか?」
もう今は今までとは違う、共に日本を守る人間だという事を噛み締めながらそう挨拶した。
そのかんたの挨拶に続くようにみずきも、
「久しぶりね...」
と、軽く挨拶を交わす。しかし、みずきは武を見てからずっと表情が暗かった。
その表情に気づいた武は、
「どしたんや?元気ないやないか、そんなんじゃ日本守られへんで!」
と、ガハハと笑う。しかしそれを見たみずきは、申し訳なさそうに、
「貴方の後輩、亡くなったみたいね...だからその...大丈夫なのかしらって思ってたから...」
と、武に問う。その途端、武は表情を少し暗くし、
「あぁ、でも俺はこんなとこで落ち込んでられへんのや」
と、言いながら拳を固く握る。そのまま少し沈黙が続いた。
少しして、
「あぁ、すまんな。空気重たくしてしもたわ」
と、武は元気を出してそう言い、優しく微笑みながら、
「あいつは立派な奴やった。やから俺も恥ずかしい所見せられへんのや。あいつの力を
と言う。それを聞いたかんたは、
「力を託された?どういう事だ?」
と、武に聞く。それに対して武が答えようとした時、ガチャと扉が開き、長官の壇ノ浦玄武が入って来た。それを見た武は、
「あ、壇ノ浦長官!お疲れ様です!」
と、元気に挨拶をする。
それに続くようにかんたとみずきも「お疲れ様です」と、挨拶をする。それに対して玄武も、
「あぁ、皆、集まってもらってありがとう。」
と、軽く礼をして3人の正面にある椅子に座る。そして、
「では早速、今回集まってもらった訳を説明していこうと思う。」
と言い、説明を始めた。
「まず初めに最近、特にここ二、三日前あたりから災害獣の出没件数が急激に増えている事は知っているな。」
玄武はまずそう3人に問いかける。それに対して3人はすぐに頷く。そう、ここ二、三日前あたりから、災害獣の出没件数が約5倍にまで膨らんでいるのだ。
「これは明らかに異常事態だ。そしてこの現象は恐らく、月宮・グングニル達の仕業だろう。」
そう玄武は表情を更に真剣にして言う。それに続けて玄武は、
「その為、今回は来る月宮・グングニル達との戦いに備えて、3人の戦闘時の役割などを説明していこうと思う。」
と、そこまで言って一度深呼吸。再び玄武が話始めようとしたその時、
「長官!大変ですわ!」
長官室の扉が凄い勢いでほたるによって開けられる。そんないつもとはまるで違うほたるに対して、玄武は、
「どうした。」
と、会議中にいきなり入って来た事にはあえて触れずに、そう聞く。するとほたるの口から衝撃的なセリフが吐かれた。
「スレイヤー第一本部の後ろ側にある森林から約30体もの災害獣がこちらに来ているのを確認致しましたわ!」
この瞬間に、最終決戦の火蓋が切られた。
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