第26話 スレイヤー第一本部


スレイヤー武道会テロ事件から一週間程経った日。かんたとみずきはれいらとほたるに連れられてスレイヤー達の本拠地である「スレイヤー第一本部」に来ていた。


「それにしても大きい建物ね...」

みずきはスレイヤー第一本部に着くと外見の第一印象を口に出した。

「日本の中では一番デカい基地ですからね」

みずきの横にいたれいらはそうみずきに補足を入れる。するとその会話にかんたが入ってくる。

「で、何で俺達はここに呼ばれたんだ?」

そう、かんたとみずきはまだ呼ばれた理由を言われていなかったのだ。それに対してはほたるが

「だいたい予想通りだと思いますけど...くだんの事件の事ですわ」

と言う。


「予想通り...か」

かんたはほたるが言った事を繰り返す様にそう呟く。

予想通り。確かに今日本の中で一番大きいスレイヤーの基地に呼ばれる理由は1つしかない。

スレイヤー武道会テロ事件。あれから一週間程経ったが、月宮・グングニルや地場いかずち、そしてその2人が言っていた「主様」の居場所も政府は掴めていなかった。

(だからあの時あの場所で戦っていた俺とみずきを呼んで、相手の情報などを教えろって訳か...)

そんな事を考えていたら4人はスレイヤー第一本部入り口に着いた。


入口には警備員が2人いたがれいらとほたるの顔を見ると、直ぐに4人を通した。そして中に入ると正面に受付カウンターがあり、その右側には長廊下、左側にはエレベーターがあり、所々装飾されていた。そんな内装を見てみずきは、

「まるで高級ホテルのエントランスね...」

と、驚いた様な声でそう言う。

「ほんとだな...」

みずきに続いてかんたも同じ様に驚いた様な声でそう言った。

それを少し呆れた様な目で見ていたほたるは、

「はぁ...全く貴方達は...もうれいらは先に行きましたわよ」

と、エレベーターのボタンを押すれいらを指さしながら2人にそう言う。それを聞いた2人は、

「すまんすまん笑」

「恥ずかしい所を見せたわね...」

と、少し反省した様な声でそう言い、ほたると共に小走りで、れいらの所まで行き、4人でエレベーターに乗り込んだ。


「にしてもれいらの顔パスは凄いな」

かんたはエレベーターの中でれいらにそう言う。

それに対してれいらは

「まぁ、私は一応政府の中でも強いスレイヤーですからね」

と、相変わらずの無表情でそう返す。するとその会話に頬っぺたを膨らませながらほたるが割り込んできて、

「ほたるも顔パス凄いんですのよ!?」

と、自分は凄いと言って貰えなかった事をかんたに指摘する。

しかしかんたは、

「あーそうだなすごいすごい」

と、面倒くさそうに返す。それに対してほたるはもちろん、

「絶対思ってないですの!」

と、更に頬っぺたを膨らまして言う。するとその会話を黙って見ていたみずきが、

「でもほたるって実際何がすごいの?いや、バカにしてる訳じゃ無いんだけど、ほたるが何かしてる所見た事ないから」

と、おそらくかんたも思っていたであろう疑問を投げかけた。

するとほたるは待ってましたと言わんばかりに、

「確かに貴方達の前では何もしてないかもしれませんが...これでもほたるは政府のスレイヤーであり、B級スレイヤーですのよ!」

と、勢い良く言う。しかし、それを聞いたみずきは、

「へぇ、貴方B級なんだ。私A級だけど?」

と、煽る様にそう言った。もちろん、その言葉にほたるは噛み付く。

「B級で悪かったですわね!」

その言葉に対してみずきはわざと腹が立つ顔で更にほたるを煽る。

「別にぃー?頑張ってるんじゃなーい?」

「何煽ってきてるんですの!?」

その会話を見ていたかんたは、

「はぁ...お前ら仲良くしろよ」

と呆れた様に2人をなだめる。


そんな事をしてる内に、エレベーターは「10階」の表示で止まり、扉が開いた。

エレベーターを出るとそこには真っ直ぐ廊下が続いており、一番奥に1つの大きな扉があった。

「あの奥が長官室です」

れいらはそう言うと、さっきよりも表情を更に真剣にして、3人を先導する様に先頭に立ち、長官室に向かって歩き始める。それを見たほたるもさっきまでとは違う、真剣な顔になりれいらに続く。それを見たかんたとみずきも表情をして長官室へと向かう。


その緊張感はこれから始まるだろうを予感させる物だった――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る